
FMシンセサイザーの代表格といえばDX7を思い浮かべる人も多いでしょう。
Tracktionの F.’em は、その伝統を継承しながらも「11オペレーター」「サンプル統合」「強力なエフェクト」を備えた次世代のFMシンセです。
この記事では、F.’emの特徴や活用法、どんな人におすすめかをわかりやすく整理します。
F.’em 11-Operator FM Synthesizer:FM合成の限界を超える、次世代ハイブリッドシンセ

Tracktion Software が開発した F.’em は、従来のFMシンセサイザーを大きく超える機能を備えた、次世代のソフトウェアシンセです。
名前の通り 11基のオペレーターを搭載 し、クラシックなFM音源から最新のハイブリッドサウンドまで幅広く対応します。
さらにサンプル再生、豊富なエフェクト、柔軟なモジュレーションシステムを組み合わせることで、他のFMシンセでは難しい表現も実現できます。
Tracktion「F.’em」の価格

Tracktion「F.’em」の特徴まとめ

Tracktion「F.’em」の特徴は、以下の通りです。
最大11オペレーターによる自由なFM構造
- 8つのクラシックFMオペレーターを中心に構成
- さらに 2基のサンプルオシレーター と ノイズジェネレーター を追加
- 完全に自由に設定できる FMマトリックス を搭載
- 従来の「固定アルゴリズム型FM」と違い、自分で柔軟にキャリアやモジュレーターを構築可能
- 自己フィードバックや相互同期も可能で、音作りの自由度が非常に高い
レイヤー構造による分厚いサウンド
- 1つのパッチに 最大4レイヤー を使用可能
- 各レイヤーは独立したFMエンジン・フィルター・エフェクトを持つ
- レイヤーごとにアルペジエーターも搭載し、リズミックなサウンド構築が容易
高度なモジュレーションシステム
- 各オペレーターに ピッチLFO・レベルLFO・エンベロープ を個別搭載
- モジュレーションマトリックス による自由なルーティング
- Flow LFO やモディファイア機能で複雑な変調を簡単に設定可能
フィルターとドライブ
- レイヤーごとに 2つのマルチモードフィルター を搭載
- ローパス、バンドパス、ハイパス、ラダーフィルター、Sallen-Keyなど豊富なタイプ
- フィルター後段に Drive(オーバードライブ/ディストーション) を配置し、アナログライクな質感を追加可能
エフェクトとミキシング
- 各レイヤーは 4つのエフェクトバス にルーティング可能
- バスごとに以下の処理を組み合わせられる:
- コンプレッサー
- モジュレーション系(コーラス、フランジャー、フェイザーなど)
- ディレイ(クロック同期可能)
- リバーブ(プレートや非線形タイプも用意)
- サウンドデザインから空間処理までワンストップで完結
サンプル統合
- 2基のサンプルオシレーターを搭載
- ユーザーサンプルを読み込んでFM変調に使用可能
- サンプル開始位置、チューニング、デチューン、キーマッピングも細かく設定できる
パワフルなアルペジエーター
- 各レイヤー独立のアルペジエーター + マスター制御
- パターンインポート(MIDIファイル)対応
- ランダマイズやスウィング機能で直感的にグルーヴを生成
柔軟なUIと操作性
- 直感的なFMマトリックス画面でオペレーターを視覚的にルーティング
- 拡大可能なエンベロープエディター(最大32ステージ)で緻密な制御
- プリセットブラウザーでジャンル別、キャラクター別に素早く音色検索
F.’emの使い方・活用法

F.’emは「FM音源の拡張版」とも言えるほど柔軟性の高いシンセサイザーです。
プリセットを鳴らすだけでも十分に楽しめますが、本領を発揮するのは自分の制作スタイルに合わせて使い込んだときです。
ここでは具体的な活用方法を整理してみましょう。
サウンドデザインに活用
- クラシックFMサウンドの再現
DX7を代表とする80年代のFMシンセサウンドを再現可能。
エレピ、ブラス、ベースなど定番音色をより現代的にアップデートできます。 - 複雑なテクスチャ生成
最大11オペレーターとノイズ、サンプルを組み合わせることで、モジュラーシンセのように入り組んだ倍音構造を構築できます。 - サンプルをFM変調素材に
ボイスやフィールドレコーディングを読み込んでFMマトリックスに組み込めば、従来のFMでは得られない独特な響きを作成可能。
トラックメイキングに活用
- ベースやリードの主役音色
アグレッシブなベースラインや、存在感のあるリード音をFMとエフェクトで作り込み、楽曲の主軸にできます。 - アルペジエーターによるリズミック展開
レイヤーごとのアルペジエーターを活用して、複雑で動きのあるリフやシーケンスを生成。
単調になりがちな打ち込みに変化を与えられます。 - レイヤリングによる厚みづけ
最大4レイヤーを重ねることで、単体の音では出せない豊かな広がりと厚みを演出可能。
特にパッドやシネマティックサウンドに有効です。
ライブや即興演奏に活用
- マクロコントロールで瞬時に変化
複数パラメータをまとめて操作できるマクロを設定すれば、演奏中に大きな音色変化を直感的にコントロールできます。 - MPE対応で表現力を拡張
MPE(MIDI Polyphonic Expression)に対応しているため、SeaboardなどのMPEコントローラーと組み合わせれば、指の動きで音を滑らかに変化させることが可能です。 - エフェクトを使った即時演出
内蔵リバーブやディレイを大胆に調整することで、即興的に空間を操り、演奏のダイナミクスを強調できます。
F.’emがおすすめな人

F.’emは高機能なFMシンセサイザーでありながら、サンプルやエフェクトを組み合わせた柔軟な音作りが可能です。
そのため「どんな人に向いているのか」を整理すると、次のようなタイプのユーザーに特におすすめできます。
音作りにこだわるサウンドデザイナー
- 既存のプリセットでは満足できない人
完全に自由なFMマトリックスを使って、オリジナルのアルゴリズムを組みたい人に最適です。 - 複雑な倍音やテクスチャを追求したい人
最大11オペレーター、ノイズ、サンプルを駆使し、他では作れないユニークな音を探求できます。
幅広いジャンルを制作するトラックメーカー
- EDMやヒップホップのパワフルなベース
アグレッシブな低音を作り込みたい人に強力な選択肢となります。 - アンビエントやシネマティック音楽の制作者
レイヤー構造と豊富なエフェクトで、広がりのある空間的なサウンドを表現できます。 - ポップスやゲーム音楽のクリエイター
クラシックFMのエレピやベル系音色を再現しつつ、モダンな質感にアップデート可能です。
演奏表現を重視するパフォーマー
- MPE対応機材を使っている人
SeaboardやLinnstrumentなどで、滑らかなピッチや音量変化を直感的に操れます。 - ライブでダイナミックに音を変化させたい人
マクロコントロールで複数のパラメータをまとめて操作し、即興的な演奏に活用できます。
シンセ学習や研究を楽しみたい人
- FM合成を体系的に理解したい人
教科書的な固定アルゴリズムに縛られず、実際に音を作りながらFMの原理を学べます。 - アナログ的な発想とデジタル的な精密さを融合させたい人
サンプル、フィルター、エフェクトを組み合わせることで、ハイブリッドな音作りを研究できます。
動作環境(System Requirements)

動作環境は、以下の通りです。
Mac
- macOS 10.11 以降(64-bit対応)
- Intel プロセッサ対応
- 対応プラグインフォーマット:VST2 / AU / AAX
Windows
- Windows 8 または 10(64-bit対応)
- 対応プラグインフォーマット:VST2 / AAX
まとめ:Tracktion「F.’em」11オペレーターと自由なFMマトリックス、サンプル統合、4レイヤー構造、豊富なフィルターとエフェクト、MPE対応まで備え、クラシックDX7系サウンドから現代的ベース、シネマティックなテクスチャまで自在に生み出せる次世代ハイブリッドシンセ|DTMプラグインセール
F.’emは単なる「FMシンセ」ではなく、サンプル、フィルター、エフェクトを統合した総合的な音源エンジン です。
・F.’emは11オペレーターとサンプル、ノイズを組み合わせた柔軟なFMシンセサイザー
・4レイヤー構造やアルペジエーターで厚みのあるリズムやサウンドデザインが可能
・強力なフィルターとエフェクトで空間表現や質感を自在にコントロール
・サウンドデザイナー、トラックメーカー、ライブパフォーマーに特におすすめ
・クラシックFMから現代的サウンドまで幅広く対応できる万能シンセ
この記事を読んだら、まずはプリセットを鳴らしながらFMマトリックスを触ってみるのがおすすめです。
自分なりの音作りの可能性を体感できるでしょう。





