
「Imaginary Instruments」は、物体の振動を物理計算して音を生成するVST3音源です。
一般的な楽器だけでなく、ドーナツ型や2つの球体、さらに4D・5D Hyperballなど、現実には存在しない形状まで演奏できるのが大きな特徴。
録音したサンプルを鳴らすのではなく、形状によって生まれる振動モードから直接音を作り出します。
「存在しない物体は、どんな音で鳴るのか?」を実際に演奏しながら確かめられる、実験的な音源です。
Imaginary Instrumentsとは?

Imaginary Instrumentsは、物体の形状と振動の物理計算をもとに音を生成する音源です。
実在する楽器をリアルに再現することよりも、物理計算から新しい音を生み出すことを目的としています。
主な特徴は次のとおりです。
- 41種類のインストゥルメントを収録
- 14種類は現実世界に相当する物体が存在しない形状
- 4D・5D Hyperballを収録
- 録音やサンプルを使用せず、計算した振動モードから音を生成
- 形状の変化によって倍音構成や音色が変化
- VST3対応
- Windows版にはスタンドアロンアプリも付属
ベルや金属的な響きから、一般的な楽器では作りにくい不思議な倍音を持つサウンドまで扱えます。
4D・5D Hyperballなど「存在しない形状」を音にできる
Imaginary Instrumentsのおもしろさは、現実には作れない物体まで音として演奏できるところです。
収録されている形状には、次のようなものがあります。
- Egg
- Donut
- Twin Drums
- Cone
- Two Spheres
- 4D Hyperball
- 5D Hyperball
たとえば4D・5D Hyperballは、通常の3次元空間には存在できない形状です。
こうした物体を数学・物理計算によって共振体として扱い、その振動から音を作り出します。
実在する楽器に近いモデルも収録
架空の形状だけではなく、物理的な仕組みがよく知られている楽器や物体をもとにしたモデルも収録されています。
- 金属プレート
- リング
- スタープレート
- ベル
- ボウル
- グロッケンシュピール
- カリンバ
- シロフォン
- マリンバ
- 撥弦
- ピアノのような弦
- 擦弦
- エアカラム
架空の形状と実在する楽器に近いモデルを、同じ合成エンジン上で比較できるのも特徴です。
Shapeを動かすと物体そのものが変化する
対応するインストゥルメントでは、Shapeノブを使って形状を変化させられます。
一般的なフィルターやエフェクトで音色を加工しているわけではありません。
形状を変え、それに合わせて振動を再計算することで音色を変化させます。
- Egg
- Donut
- Twin Drums
- Cone
- Two Spheres
などがShapeノブに対応しています。
形が変われば倍音の並び方も変わるため、ドラムのような響きからベルや金属を思わせる音色へ変化していくことがあります。
画面上には倍音を確認できるバーチャートも用意されています。
41種類の音をすぐに試せる
プラグイン内にはピアノキーボードがあり、画面をクリックするだけでも演奏できます。
コンピューターのキーボードから演奏することも可能です。
主な機能は次のとおりです。
- 41種類のインストゥルメントから選択
- 内蔵ピアノキーボードから演奏
- PCキーボードから演奏
- Shapeによるリアルタイムな音色変化
- 倍音構成をバーチャートで表示
- 複数のチューニングを選択
- DAWプロジェクトに設定を保存
一般的な12平均律に加え、バッハの「インヴェンション第2番」から導き出した3種類の実験的なスケールも用意されています。
リアルな生楽器を再現する音源ではない
Imaginary Instrumentsを使ううえで押さえておきたいのが、リアルなドラムやベルなどを再現するための音源ではない点です。
物理計算を使っていますが、すべてのモデルが実在する楽器の測定データと比較されているわけではありません。
たとえば、
- Tubeは吹奏ではなく、叩いた状態をモデル化
- Bar・String・Tubeの減衰時間には仮定値を使用
- Free Plateはシンバルを再現したモデルではない
- 架空形状は実在するドラムやベルなどのシミュレーションではない
といった特徴があります。
リアルなアコースティック楽器がほしい場合ではなく、物理計算を利用して一般的な音源とは違う響きを探したいときに適した音源です。
Imaginary Instrumentsがおすすめな人
一般的なサンプル音源とは違うアプローチで音を作りたい人に向いています。
特に次のような人は楽しめそうです。
- 実験的な音作りが好きな人
- ベルや金属系の独特な倍音を探している人
- 物理モデリング音源に興味がある人
- サンプルでは作りにくい音を探したい人
- 4D・5Dなど数学的な形状を音として体験してみたい人
- Shapeを動かしながら音色の変化を試したい人
Imaginary Instrumentsのシステム要件
Imaginary InstrumentsはWindowsとLinuxに対応しています。
Windows
- Windows 10 / 11
- 64bit
- VST3
- スタンドアロンアプリ付属
Linux
- x86_64
- VST3
- glibc 2.38以降
- Ubuntu 24.04以降など
macOS
- 現時点では非対応
DAWで使用する場合は、VST3に対応したホストが必要です。
Windowsではスタンドアロンアプリも利用できるため、DAWを起動せずに演奏できます。
ベータ版のため導入前に確認しておきたい
現在のImaginary Instrumentsは、バージョン0.8.0のベータ版です。
導入前に次の点を確認しておきましょう。
- ベータ版として公開されている
- Windows版はコード署名されていない
- 初回起動時にWindows SmartScreenの警告が表示される場合がある
- macOSには対応していない
- REAPERでは以前のバージョンがテストされている
- ほかのDAWでは十分にテストされていない
安定性を最優先する制作環境へ導入する場合は、ベータ版であることを理解したうえで試すのがよいでしょう。
Imaginary Instrumentsまとめ
Imaginary Instrumentsは、実在する楽器の再現ではなく、「物体の形そのものから新しい音を作る」という発想の物理モデリング音源です。
特徴をまとめると、
- 41種類のインストゥルメントを収録
- 4D・5D Hyperballなど現実には存在しない形状を演奏可能
- サンプルを使わず物理計算から音を生成
- Shapeによって形状と音色をリアルタイムに変化
- 金属、バー、弦、エアカラムなどのモデルも収録
- Windows/Linux対応
- ベータ版として提供
という内容です。
「4次元の球体を振動させたら、どんな音がするのか?」
そんな普通の音源では試せない発想を、実際に鍵盤で演奏して確かめられるユニークな音源です。
