
Kajubyの「UnMade」「DuckShift」「Soundscape」「Echo-Memetic」「The Final Master」は、音色生成からミックス、マスタリングまで、音楽制作のさまざまな工程に対応する5種類のプラグインです。
サンプルを遺伝子のように進化させるシンセサイザーや、音の重なりを周波数単位で整理するダッキングツール、楽曲を解析して自動調整するマスタリングプラグインなど、それぞれ異なる特徴を持っています。
この記事では、5製品の特徴や活用方法、どのような人に向いているのかを紹介します。
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Kajubyの5つのプラグインとは?
Kajubyの5製品は、音作り、空間演出、ミックス、マスタリングという異なる制作工程をサポートするプラグインです。
特に、音色を自動生成したり、複雑な処理を簡単な操作でコントロールしたりできる点が特徴です。
それぞれの用途は次のように分かれています。
UnMade|音色生成・サウンドデザイン
サンプルを98種類の遺伝子に分解し、突然変異や交配によって新しい音色を生み出すシンセサイザーです。
DuckShift|サイドチェイン・ダッキング
16種類のカーブと周波数別ダッキングによって、キックやベースなどの音の重なりを整理するエフェクトです。
Soundscape|アンビエント・テクスチャー生成
4種類のシンセシス方式を組み合わせ、時間とともに変化するドローンやアンビエントサウンドを生成します。
Echo-Memetic|ディレイ・リバーブ
人間の記憶が薄れていく過程を音響処理に取り入れ、時間とともに変化するエコーや残響を作り出します。
The Final Master|自動マスタリング
楽曲を解析し、EQ、ダイナミクス、サチュレーション、リミッターなどを自動調整するマスタリングプラグインです。
UnMade|音を遺伝子のように進化させるシンセサイザー
UnMadeは、サンプルを解析して「ゲノム」と呼ばれる音色データに変換し、新しいサウンドを生成するシンセサイザーです。
音の倍音構成、質感、ノイズ、トランジェント、モジュレーションなどを98種類の遺伝子と12種類の染色体として扱います。
生成した音色は演奏可能なインストゥルメントとして使用でき、突然変異や異なる音色同士の交配によって、さらに変化させることも可能です。
174種類のファクトリーゲノムを収録しているため、手持ちのサンプルを読み込まなくても音作りを始められます。
98種類の遺伝子による音色編集
倍音、ノイズ、時間変化、空間表現、エフェクトなどを個別に編集できます。
突然変異と交配によるサウンド生成
音色を変異させたり、2つのゲノムを組み合わせたりすることで、新しいサウンドを作り出せます。
1世代につき6種類の子音色を生成します。
174種類のファクトリーゲノム
18カテゴリーに分類された音色を収録。
お気に入り登録や評価機能も備えています。
モジュレーションとエフェクト
3基のLFO、モジュレーションエンベロープ、16ルートのモジュレーションマトリクスを搭載。
サチュレーション、ディレイ、リバーブも使用できます。
UnMadeの活用法
UnMadeは、既存のサンプルを出発点にして、オリジナルの音色を作りたい場面に向いています。
例えば、パーカッションのサンプルを読み込み、倍音やノイズの構成を変化させることで、元の素材とは異なる質感のサウンドを探せます。
2種類の音色を交配させる機能は、通常のシンセサイザーとは違った発想で音作りを進めたいときにも便利です。
UnMadeがおすすめな人
- サンプルを加工して新しい音色を作りたい人
- 実験的なサウンドデザインを楽しみたい人
- 映画音楽やゲーム音楽向けの独自の音色を探している人
- プリセットだけでなく、音の構成要素まで編集したい人
DuckShift|周波数別ダッキングで音の重なりを整理
DuckShiftは、サイドチェイン・ダッキングを簡単に設定できるエフェクトプラグインです。
16種類のダッキングカーブを搭載し、テンポ同期、MIDIノート、オーディオ信号の3種類からトリガー方法を選択できます。
特徴的なのが「Smart Spectral Ducking」です。
サイドチェイン信号を周波数解析し、重なっている帯域を中心に音量を下げることで、必要な音域を残しながらスペースを確保できます。
16種類のダッキングカーブ
Soft Pump、Hard Pump、Snap、Reverse、Double Pumpなどを搭載。
リズミカルなポンピングから短いゲート処理まで対応します。
3種類のトリガーモード
DAWのテンポに同期するSync、MIDIノートで動作するMIDI、実際のサイドチェイン入力を使用するAudioから選択できます。
Smart Spectral Ducking
サイドチェイン信号の周波数成分を解析し、必要な帯域を選択的にダッキングします。
8つのLearnスロット
サイドチェイン信号の周波数特性を記憶し、後からSyncやMIDIトリガーで利用できます。
低域だけのダッキングにも対応
30Hz〜2kHzの範囲でクロスオーバー周波数を設定し、低域のみをダッキングできます。
DuckShiftの活用法
代表的な使い方は、キックとベースの音の重なりを整理することです。
キックが鳴る瞬間だけベースの音量を下げれば、低域のスペースを確保できます。
Smart Spectral Duckingを使えば、キックと重なる周波数を中心に処理できるため、ベースの高域成分を残しながら低域を整理することも可能です。
また、テンポ同期によるポンピングを利用すれば、パッドやシンセにリズミカルな音量変化を加えられます。
DuckShiftがおすすめな人
- キックとベースの音の重なりを整理したい人
- EDMやハウスなどでポンピング効果を使いたい人
- 通常のダッキングでは音量が下がりすぎると感じる人
- MIDIやテンポ同期でダッキングを細かく制御したい人
Soundscape|変化し続けるアンビエントサウンドを生成
Soundscapeは、サンプルを使用せず、シンセシスだけでアンビエントやドローン、環境音のようなテクスチャーを生成するシンセサイザーです。
ノイズ、物理モデリング、FM、加算合成という4種類の音源を並列で組み合わせ、時間とともに変化する音響空間を作り出します。
「GENERATE」機能を使えば、新しいサウンドを生成可能です。
気に入った音色はシード値を固定して保存できるため、ランダム生成と再現性を両立できます。
4種類のシンセシス方式
12種類のノイズ、物理モデリング、FM、32倍音の加算合成を組み合わせて音色を作ります。
2つのXYパッド
Calm/Hard、Smooth/Gritty、Stable/Evolving、Atonal/Tonalという4つのマクロを操作し、音のキャラクターを変化させます。
GENERATE機能
シード値、音色、マクロ、音階設定などを対象に、新しいサウンドを生成できます。
ドローンモード
MIDI入力なしで、持続的に変化するサウンドを再生できます。
音階・チューニング機能
19種類のスケールと複数のチューニング方式に対応。
微分音を取り入れた音響表現にも活用できます。
Soundscapeの活用法
Soundscapeは、アンビエントや映画音楽、ゲームの背景音を制作する場面に向いています。
例えば、ドローンモードで持続音を生成し、XYパッドで質感や変化の度合いを調整すれば、時間とともに表情が変わる音響レイヤーを作れます。
ノイズと物理モデリングを組み合わせれば、風や雨、金属的な響きを含むテクスチャー制作にも活用可能です。
Soundscapeがおすすめな人
- アンビエントやドローンを制作する人
- 映画やゲーム向けの背景音を作りたい人
- ランダム生成から新しい音色のアイデアを得たい人
- サンプルに頼らず環境音やテクスチャーを作りたい人
Echo-Memetic|記憶が薄れるように変化するディレイ・リバーブ
Echo-Memeticは、人間の記憶が時間とともに薄れていく仕組みを音響処理に取り入れたディレイ・リバーブです。
最大60秒の範囲に配置された10個のメモリータップが、それぞれ異なる時間経過に応じて音を変化させます。
最初は明瞭だった反復音が、次第に高域を失い、輪郭がぼやけ、最後にはかすかな痕跡のように消えていきます。
一般的なディレイとは異なり、反復するたびに音の質感そのものが変わっていく点が特徴です。
4段階の忘却処理
Blur、Smear、Confabulation、Traceという4種類の処理によって、音の輪郭や倍音、残響を変化させます。
10個のメモリータップ
最大60秒の記憶範囲を持ち、時間の経過に応じて異なる劣化処理を行います。
Déjà-Vu機能
繰り返し現れるフレーズを解析し、過去にそのフレーズの後に続いた音を短いフラッシュバックとして再生します。
テンポ同期
1/16音符から2/1音符までの音価に対応。
3連符や付点音符も使用できます。
視覚的なメモリー表示
音の記憶や忘却の進行、Déjà-Vuの発生をアニメーションで確認できます。
Echo-Memeticの活用法
Echo-Memeticは、通常のディレイでは得られない、時間とともに崩れていく残響を作りたい場面に向いています。
例えば、ピアノやシンセの短いフレーズに使用すれば、反復音が徐々にぼやけて消えていくような空間表現を加えられます。
アンビエントや実験音楽では、Déjà-Vu機能を利用して、過去のフレーズが不意に現れるような演出も可能です。
Echo-Memeticがおすすめな人
- 一般的なディレイとは異なる空間表現を探している人
- アンビエントや実験音楽を制作する人
- 音が崩れたり薄れたりする変化を楽曲に取り入れたい人
- フレーズの反復を使った独特のサウンドデザインに興味がある人
The Final Master|18ジャンルに対応する自動マスタリングプラグイン
The Final Masterは、楽曲を解析してマスタリング処理を自動設定するプラグインです。
入力されたミックスを分析し、EQ、マルチバンドダイナミクス、サチュレーション、ステレオイメージャー、リミッターの設定を自動的に構築します。
EDM、ロック、メタル、ジャズ、クラシックなど18種類のジャンルに対応し、それぞれに合わせたラウドネスや音色バランス、ステレオ幅などの目標を設定できます。
自動処理だけでなく、4種類のマクロによる調整も可能です。
ANALYZE機能
入力されたミックスを解析し、EQやダイナミクス、サチュレーションなどの設定を自動生成します。
18種類のジャンル設定
EDM、Trance、House、Techno、Hip-Hop、Pop、Rock、Metal、Jazz、Classicalなどに対応。
ジャンルごとにラウドネスや音色バランスなどの目標が異なります。
4種類のマクロ
Intensity、Bass Weight、Highs/Air、Output Ceilingを使い、処理の強さや低域、高域、出力上限を調整できます。
自動マルチバンド処理
周波数帯域ごとにEQ、ダイナミクス、サチュレーションなどを設定します。
ラウドネスメーター
Integrated LUFS、Short-term LUFS、クレストファクターなどを確認できます。
The Final Masterの活用法
The Final Masterは、ミックス完成後のマスタリング作業を効率化したい場面に向いています。
例えば、制作した楽曲に近いジャンルを選び、ANALYZE機能で解析すれば、楽曲の特性に合わせたマスタリング設定を自動生成できます。
その後、低域を強調したい場合はBass Weight、高域の明るさを調整したい場合はHighs/Airを操作するなど、マクロを使って仕上がりを調整できます。
自動処理を出発点にして、最終的な音を耳で確認しながら仕上げる使い方が適しています。
The Final Masterがおすすめな人
- マスタリング作業を効率化したい人
- EQやコンプレッサーの細かな設定に慣れていない人
- ジャンルに合わせたマスタリング設定を試したい人
- 自動処理をベースに、簡単な操作で仕上がりを調整したい人
Kajubyの5製品はどれを選べばいい?
5製品はそれぞれ役割が異なるため、普段の音楽制作で何を改善したいのかによって選ぶと分かりやすくなります。
| 制作でやりたいこと | 向いている製品 |
|---|---|
| サンプルから新しい音色を作りたい | UnMade |
| キックとベースの音の重なりを整理したい | DuckShift |
| アンビエントやドローンを生成したい | Soundscape |
| 独特のディレイや残響を作りたい | Echo-Memetic |
| マスタリングを自動化したい | The Final Master |
特にUnMadeとSoundscapeは音作り、DuckShiftとEcho-Memeticはエフェクト処理、The Final Masterは楽曲の最終仕上げに関わる製品です。
目的が明確であれば、必要なプラグインを選びやすくなります。
Kajubyの5製品のシステム要件
5製品はいずれもWindowsとmacOSに対応しています。
対応プラグイン形式は共通していますが、スタンドアロン版の有無などに違いがあります。
| 製品 | 対応OS | プラグイン形式 | スタンドアロン |
|---|---|---|---|
| UnMade | Windows / macOS | VST3 / AU / CLAP | 対応 |
| DuckShift | Windows / macOS | VST3 / AU / CLAP | 記載なし |
| Soundscape | Windows / macOS | VST3 / AU / CLAP | 対応 |
| Echo-Memetic | Windows / macOS | VST3 / AU / CLAP | 記載なし |
| The Final Master | Windows / macOS | VST3 / AU / CLAP | 記載なし |
※AU形式はmacOS向けです。
macOS
5製品ともUniversal Binaryに対応し、Apple SiliconとIntel Macで使用できます。
Windows
VST3とCLAP形式に対応しています。
The Final Masterについては、Windows 10/11への対応が明記されています。
そのほか
The Final Masterは64-bit対応です。
DuckShiftはLogic ProのAU MIDIエフェクトとしても使用できます。
まとめ|音色生成からマスタリングまで、制作目的に合わせて選べる5つのプラグイン
Kajubyの5製品は、サウンドデザインからミックス、マスタリングまで、音楽制作の異なる工程をサポートするプラグインです。
それぞれの特徴を整理すると、次のようになります。
サンプルを遺伝子として解析・進化させる音色生成
突然変異や交配を使い、既存の素材から新しいサウンドを作り出せます。
周波数別処理に対応するサイドチェイン・ダッキング
キックとベースなどの重なりを整理しながら、必要な周波数成分を残せます。
ランダム生成によるアンビエント・テクスチャー制作
4種類のシンセシス方式を組み合わせ、変化し続ける音響空間を作れます。
記憶の忘却を再現するディレイ・リバーブ
反復音の輪郭や倍音を時間とともに変化させ、独特の残響を生み出します。
ジャンル別設定に対応する自動マスタリング
楽曲解析によって各種処理を自動設定し、4つのマクロで仕上がりを調整できます。
新しい音色を探したい人から、ミックスやマスタリングの作業を効率化したい人まで、それぞれの制作目的に合わせて活用できるラインナップです。
普段の制作で改善したい工程や、取り入れたい音響表現に合わせて選んでみてはいかがでしょうか。
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