
Decimulabs「VST Suite」は、EQやサイドチェイン、ギターエフェクト、ドラム処理など、11種類の無料VSTプラグインを公開しているコレクションです。
ボーカルの音質調整からミキシング、ドラムの補強、Lo-Fiサウンドの制作まで、幅広い用途に対応しています。
すべて無料でダウンロードでき、オープンソースとして公開されているのも特徴です。
ただし、現在は開発途中のテスト版であり、Windows 64bit環境向けに提供されています。
Decimulabs「VST Suite」とは?
Decimulabs「VST Suite」は、音楽制作に必要なさまざまなエフェクト処理を無料で試せるVST3プラグインコレクションです。
ボーカルやギターに特化したマルチエフェクトから、ダイナミックEQ、ドラムトリガー、リファレンス比較ツールまで、11種類のプラグインを個別にダウンロードできます。
11種類の無料プラグイン
用途に応じて必要なプラグインを選んで導入できます。
幅広いミキシング機能
EQ、コンプレッサー、サイドチェイン、リバーブ、ディレイなどの処理に対応しています。
オープンソース
GPLv3ライセンスで公開されており、無料・寄付歓迎の形式で提供されています。
開発途中のテスト版
音質や動作の検証が十分ではないため、制作環境によっては不具合が発生する可能性があります。
収録されている11種類の無料プラグイン
VST Suiteには、ミキシングからサウンドデザインまで、異なる役割を持つ11種類のプラグインが用意されています。
それぞれの特徴を紹介します。
Acoustic|ボーカル・アコースティック楽器用マルチエフェクト
ボーカルやアコースティック楽器の音作りに必要な処理をまとめたマルチエフェクトです。
EQやコンプレッサーに加え、2系統のパラレルリバーブ、テンポ同期ディレイ、出力リミッターを搭載しています。
主な機能
EQ、コンプレッサー、リバーブ、ディレイ、リミッター。
活用例
ボーカルの音質を整えながら空間的な広がりを加えたり、アコースティックギターに自然な残響を与えたりする用途に使えます。
Guitars|エレキギター用マルチエフェクト
エレキギターの音作りに必要なエフェクトをまとめたプラグインです。
ゲート、ドライブ、トーン調整、キャビネット、モジュレーション、リバーブ、ディレイを搭載しています。
主な機能
ゲート、ドライブ、キャビネット、コーラス、フランジャー、フェイザー、リバーブ、ディレイ、リミッター。
活用例
ギターの歪みや音色を調整し、モジュレーションや空間系エフェクトを組み合わせたサウンドを制作できます。
なお、ドライブとキャビネットは簡易的な実装段階であり、最終的な音質には達していません。
Versus (AB)|リファレンス音源との比較ツール
制作中のミックスやマスターを、リファレンス音源と比較するためのプラグインです。
LUFSによる音量マッチングに対応しており、音量差による印象の違いを抑えながら比較できます。
主な機能
最大8つのリファレンス音源、A/B比較、ブラインドABXテスト、スペクトル分析、ダイナミックレンジ測定、ステレオ幅の比較。
活用例
自分のミックスと目標とする楽曲を比較し、低音の量感や周波数バランス、ステレオの広がりを確認できます。
Gap|リズミカルなサイドチェインエフェクト
音量カーブを使って、リズミカルなダッキング効果を作り出すプラグインです。
キックからのサイドチェイン信号を接続しなくても、DAWのテンポに同期した音量変化を加えられます。
主な機能
音量カーブの描画、10種類のプリセット、テンポ同期、MIDIトリガー、オーディオトリガー。
活用例
ベースやシンセパッドに周期的な音量変化を加え、EDMやハウスミュージックで使われるポンピング効果を作れます。
Carve|32バンドのスペクトル・サイドチェイン
別のトラックの周波数成分を分析し、重なっている帯域を自動的に抑えるプラグインです。
一般的な音量ベースのサイドチェインとは異なり、必要な周波数帯域だけを調整できるのが特徴です。
主な機能
32バンドのスペクトル分析、サイドチェイン入力、周波数範囲指定、アタック・リリース調整、ミックス調整。
活用例
キックとベースが重なる低音域を整理したり、ボーカルとギターがぶつかる帯域を抑えたりする用途に使えます。
使用する際は、DAW側でサイドチェインのルーティングが必要です。
Trigger|ドラムのMIDI変換・サンプル補強
ドラムのオーディオ信号を検出し、演奏の強弱を反映したMIDIノートに変換するプラグインです。
内蔵サンプルプレイヤーも備えており、元のドラムサウンドを補強したり、別のサンプルに置き換えたりできます。
主な機能
Audio to MIDI変換、ベロシティ検出、最大8サンプルの再生、ラウンドロビン、MIDI書き出し、被り音の除去。
活用例
録音したキックやスネアに別のドラムサンプルを重ね、アタックや音の厚みを補強できます。
実際のドラム録音を使った十分な動作検証は、まだ行われていません。
Flank|ボーカル用ステレオワイドナー
ボーカルの中心を維持しながら、左右に広がりを加えるプラグインです。
わずかにピッチを変えた2つのコピーを作成し、ディレイやステレオ配置によって広がりを演出します。
主な機能
デチューン、ディレイ、ステレオ幅調整、ショートアンビエンス、相関メーター、モノラルチェック。
活用例
メインボーカルの輪郭を保ちながら、サビの歌声に広がりや厚みを加えたい場面に使えます。
Ataque|トランジェントシェイパー
音の立ち上がりと余韻を調整するプラグインです。
アタックとサステインを個別に操作でき、音のパンチ感や響きの長さを変化させられます。
主な機能
アタック調整、サステイン調整、スピード調整、ゲイン変化の表示、ゼロレイテンシー処理。
活用例
キックやスネアのアタックを強調したり、アコースティックギターの余韻を短くして歯切れのよい音に仕上げたりできます。
Emery|ディエッサー・ポップノイズ抑制
ボーカル録音で気になる歯擦音やポップノイズを調整するプラグインです。
「サ行」の鋭い音と、「パ行」「バ行」などで発生する低域の吹かれ音を、それぞれ独立して処理できます。
主な機能
ディエッサー、ディポッパー、周波数指定、しきい値調整、BAND/WIDEモード、LISTEN機能。
活用例
ボーカルの耳に刺さる高音や、マイクに息が当たった際の低域ノイズを抑える用途に使えます。
Scour|6モジュールのLo-Fiエフェクト
音にノイズや揺れ、歪みを加え、古い録音機材のような質感を作り出すプラグインです。
6種類のエフェクトモジュールを個別に組み合わせ、音を劣化させたような表現を作れます。
主な機能
ノイズ、ワウ・フラッター、ディストーション、ビットクラッシャー、Lo-Fiリバーブ、テープ劣化表現。
活用例
シンセやドラムにビンテージ感を加えたり、Lo-Fi Hip Hopやアンビエント向けのざらついたサウンドを作ったりできます。
Cincel EQ|24バンドのパラメトリックEQ
最大24バンドを使用できる、多機能なパラメトリックEQです。
通常のEQ処理に加え、ダイナミックEQ、スペクトルダイナミクス、EQマッチングなどに対応しています。
主な機能
最大24バンド、9種類のフィルター形状、ダイナミックEQ、サイドチェイン、Mid/Side処理、EQ Match、EQ Sketch、スペクトラムアナライザー。
活用例
楽器の不要な帯域を整理したり、特定の周波数が大きくなった瞬間だけ抑えたりできます。
リファレンス音源とのEQマッチングや、複数トラック間の周波数の重なりを確認する機能も備えています。
VST Suiteの活用法|音楽制作でどう使う?
11種類のプラグインを組み合わせることで、さまざまな制作シーンに対応できます。
特に、ミキシングやサウンドデザインを無料プラグインで試したい場合に便利な構成です。
キックとベースの分離
Carveでキックが鳴る瞬間に重なる低音域を抑え、ベースとの干渉を調整できます。
ドラムの迫力を調整
Ataqueでアタックを強調し、Triggerで別のサンプルを重ねることで、ドラムサウンドを補強できます。
ボーカルの仕上げ
Acousticで音質や空間を調整し、Emeryで歯擦音を抑え、Flankでステレオの広がりを加えられます。
シンセサウンドの加工
Gapでリズミカルな音量変化を加えたり、Scourでノイズやテープの揺れを重ねたりできます。
ミックスの最終チェック
Versus (AB)でリファレンス音源と比較し、周波数バランスやステレオ幅を確認できます。
VST Suiteがおすすめな人・向いていない人
VST Suiteは、無料でさまざまな音作りを試したいDTMユーザーに向いています。
一方で、すべて開発途中のテスト版であるため、安定した動作が必要な制作環境では注意が必要です。
おすすめな人
無料でエフェクトを充実させたい人
11種類のプラグインを個別に導入でき、幅広い音作りを試せます。
ミキシングの機能を学びたい人
EQ、サイドチェイン、トランジェント処理など、さまざまなエフェクトの役割を確認できます。
ドラムやボーカルの加工を試したい人
ドラムサンプルの補強やボーカルのステレオ拡張など、用途に特化したプラグインを利用できます。
向いていない人
Macで制作している人
現在公開されているのはWindows用VST3プラグインです。
安定性を最優先する人
実際の制作環境で十分に検証された完成版ではないため、不具合が発生する可能性があります。
VST Suiteのシステム要件・インストール方法
VST Suiteは、Windows 64bit環境向けのVST3プラグインとして公開されています。
対応OS
Windows 64bit
プラグイン形式
VST3
配布形式
ZIPファイル。各プラグインを個別にダウンロードできます。
インストール方法
ZIPファイルを解凍し、含まれている .vst3 フォルダーを以下の場所に移動します。
C:\Program Files\Common Files\VST3\
その後、DAWを再起動するか、プラグインの再スキャンを実行してください。
なお、対応するWindowsの具体的なバージョンや必要メモリについては、記載されていません。
まとめ|VST Suiteは11種類のエフェクトを無料で試せるプラグインコレクション
Decimulabs「VST Suite」は、ミキシングやサウンドデザインに役立つ11種類の無料VSTプラグインを公開しているコレクションです。
EQやサイドチェインだけでなく、ドラムトリガー、ボーカル処理、ギターエフェクト、Lo-Fi加工まで幅広い機能を備えています。
11種類の無料VST3プラグイン
必要なエフェクトを個別にダウンロードして利用できます。
ミキシングから音作りまで対応
EQ、ダイナミクス、空間処理、サイドチェイン、ドラム補強などを試せます。
多機能なEQとサイドチェイン
24バンドEQや32バンドのスペクトル・サイドチェインなどを搭載しています。
Windows専用のテストビルド
開発途中のため、音質や動作の安定性については注意が必要です。
無料でさまざまなエフェクトを試せる一方、現時点では完成版ではありません。
まずは気になるプラグインを個別に導入し、既存の制作環境で動作や音の変化を確認してみるとよいでしょう。
