
音楽制作に欠かせない「コンプレッサー」
その中でも、自由にカスタマイズできるオープンソースのプラグイン「ZL Compressor」が注目を集めています。
この記事では、ZL Compressorの特徴や導入方法を、できるだけわかりやすくまとめました。
ZL Compressor:高品質なコンプレッサープラグイン

ZL Compressorは、オープンソースで開発されている音楽制作向けのコンプレッサープラグインです。
高性能かつ自由にカスタマイズ可能な点が特徴で、ミックスやマスタリングにおけるダイナミクス処理を効率よく行えます。
ZL Compressorの主な特徴
- オープンソース
- ソースコードがGitHubで公開されており、自由にダウンロード・改良・再配布が可能です。
- ライセンスは「AGPLv3」ですが、ZL AudioおよびZL Compressorのロゴは含まれていません。
- クロスプラットフォーム対応
- Windows、macOS、Linuxで動作するよう設計されています。
- 対応フォーマットを自由に選択可能
- ビルド時に「VST3」や「LV2」など、必要なプラグイン形式を指定できます。
- 高性能な信号処理
- KFRライブラリを利用したSIMD・DFT(高速フーリエ変換)による処理の高速化が実装されています。
ソースからのビルド手順
ZL Compressorは、自分の環境に合わせてソースコードからビルド(コンパイル)することで利用できます。
以下の手順で進めましょう。
1. 必要なツール・ライブラリの準備
- Clang(AppleClang 16以上 または LLVM/Clang 17以上)
- CMake 3.25以上
- Ninjaビルドシステム
Windowsの場合
- Intel® Integrated Performance Primitives(IPP)のインストールを推奨
- ※必須ではありません。KFRによる高速化が標準で有効です。
Linuxの場合
- 以下のコマンドで必要な依存パッケージをまとめてインストールできます。
sudo apt-get update && sudo apt install libasound2-dev libx11-dev libxinerama-dev libxext-dev libfreetype-dev libfontconfig1-dev libwebkit2gtk-4.1-dev libglu1-mesa-dev
2. ソースコードの取得とビルド
以下の手順でソースコードを取得し、ビルドを行います。
git clone https://github.com/ZL-Audio/ZLCompressor
cd ZLCompressor
git submodule update --init --recursive
cmake -B Builds -G Ninja -DCMAKE_BUILD_TYPE=Release -DKFR_ENABLE_MULTIARCH=OFF -DZL_JUCE_FORMATS="VST3;LV2" .
cmake --build Builds --config Release
ビルドが完了すると、対応するフォーマットのプラグインファイルが自動的に所定のフォルダへコピーされます。
コピーを無効化したい場合
以下のオプションを付与すると、手動コピーが必要になります。
-DZL_JUCE_COPY_PLUGIN=FALSE
ビルド成果物は以下に格納されます。
Builds/ZLCompressor_artefacts/Release
3. コンパイラの指定(必要に応じて)
複数のコンパイラがインストールされている場合、ビルド時に明示的に指定が必要です。
Linuxの場合
-DCMAKE_C_COMPILER=clang -DCMAKE_CXX_COMPILER=clang++
Windowsの場合
-DCMAKE_C_COMPILER=clang-cl -DCMAKE_CXX_COMPILER=clang-cl
4. AAXプラグインについて
AAXフォーマットのプラグインは、Pro Toolsで使用する場合にPACE Anti-Piracy社の署名ツールによるデジタル署名が必要です。
まとめ:ZL Audio「ZL Compressor」無料&オープンソースで高性能!VST3・LV2対応で自分好みにカスタマイズできる本格コンプレッサー|DTMプラグインセール
ZL Compressorは、オープンソースでありながらプロフェッショナルな品質と自由度を兼ね備えたコンプレッサープラグインです。
・ZL Compressorは、オープンソースの高品質コンプレッサープラグイン
・Windows、macOS、Linuxに対応し、自由にビルド・カスタマイズ可能
・VST3やLV2など、必要なプラグイン形式を選んでビルドできる
・KFRライブラリによる高速処理で快適なパフォーマンス
・AAXプラグインはPro Tools使用時にデジタル署名が必要
・公式GitHubからソースコードを取得して、自分でビルドできる
・音楽制作や音響処理にこだわる方におすすめ
このように、ZL Compressorは、シンプルながらも本格的な機能を備えた便利なツールです。
自分だけの環境に合わせてカスタマイズしたい方は、ぜひ活用してみてください。