
Rolandの名機JV-880が、無料プラグイン「VirtualJV」としてDAW上に蘇りました。
実機の音を忠実に再現しながら、編集性も大幅アップ。導入のコツや注意点も含めて詳しく紹介します。
VirtualJV:Roland JV-880をDAWで蘇らせる無料エミュレータ

1990年代に人気を博したRoland JV-880。今なお愛されるこのハードウェア音源が、ついにソフトウェアプラグインとして現代のDAW環境で動作可能になりました。
それが「VirtualJV」です。
このページでは、VirtualJVの概要、特徴、導入方法、使う際の注意点などをわかりやすく解説します。
VirtualJVの概要

VirtualJVは、Rolandが1992年に発売したラックマウント音源モジュール「JV-880」をエミュレートする無料・オープンソースのプラグインです。
- 開発者は「Giulioz」氏
- 対応OS:macOS(Intel・Apple Silicon)/Windows
- プラグイン形式:VST3、AU、スタンドアロン
- JUCEフレームワークを使用して開発
- Roland SC-55エミュレータ(NukeYKT氏作)をベースに改良し、JV-880に対応
- ソースコードはGitHubで公開中
JV-880とは?
- JV-880は、JV-80のラックマウント版として登場したPCM音源モジュール
- 波形(PCMサンプル)をレイヤーし、マルチティンバーな楽器を構築可能
- 主な機能:
- TVF(Time Variant Filter)によるフィルター処理
- TVA(Time Variant Amplifier)による音量変化の制御
- 複数のLFO搭載
- コーラス/ディレイ/リバーブなどのエフェクト
- 微細な音律設定(マイクロチューニング)
VirtualJVの特長
VirtualJVの特長は、以下の通りです。
実機に忠実なエミュレーション
- エミュレートされている主なIC(集積回路):
- Roland PCMチップ
- Hitachi H8/532 MCU(マイクロコントローラ)
- Mitsubishi M37450M2 MCU(マイクロコントローラ)
- サウンド面では非常に忠実で、実機に近い質感を再現
使いやすいGUI
- 元のハードウェアよりもパラメータにアクセスしやすいインターフェース
- 編集が簡単で、音作りがスムーズ
オープンソースでカスタマイズ可能
- GitHubでソースコードが公開されており、開発者や上級者は改良も可能
- オープンソースの精神で、改造や研究にも最適
利用に必要なもの
利用に必要なものは、以下の通りです。
JV-880のROMデータが必要
- VirtualJVは、JV-880の実機ROMファイルを必要とします
- ROMがないとプラグインは動作しません
- 法的な理由から、開発者も公式サイトもROMの配布は行っていません
初回起動時の手順
- プラグインを起動すると、ROM保存先フォルダの選択ダイアログが表示されます
- 指定されたフォルダに、自分で用意したJV-880のROMファイルをコピーします
- プラグインを再起動
- 初回ロード時は波形ROMのデスクランブルとキャッシュ作成のために1分ほどかかる場合あり
導入時の注意点
導入時の注意点は、以下の通りです。
Windowsでの注意
- Windows 10環境で問題が発生する場合は、Visual C++ 2022 再頒布可能パッケージをインストールすることで解決する可能性があります
macOSでの注意
- macOSで「開発者未登録」エラーが出る場合は、以下のターミナルコマンドで回避可能:
sudo xattr -rd com.apple.quarantine /Users/<あなたのユーザー名>/Library/Audio/Plug-Ins/Components/jv880.component
推奨サンプルレート
- JV-880実機の内部サンプルレートは32kHz
- DAW側のサンプルレートを48kHzに設定すると安定して動作します
- 44.1kHzではジッターが出るという報告もあり
まとめ:GiulioZ「VirtualJV」あの名機Roland JV-880を完全再現!90年代PCMサウンドをDAW上で蘇らせる無料プラグイン|DTMプラグインセール
VirtualJVは、Roland JV-880の音を現代のDAW環境で再現できる、画期的な無料プラグインです。
インストールには多少の手間がかかりますが、それに見合う価値のある音源であり、ハードウェアでは不可能だった編集や操作性の向上も魅力です。
・Roland JV-880を再現した無料のVST/AUプラグイン「VirtualJV」
・GitHubで入手可能だが、動作には実機のROMファイルが必要
・エミュレーション精度が高く、GUI操作で音作りも快適
・macOSとWindowsの両方に対応、設定に少しコツがある
・サンプルレートや初期設定のポイントを押さえて使えば非常に安定
JV-880のサウンドが好きな人、懐かしのPCM音源をDAWで使いたい人にはぴったりのエミュレーターです。
導入には多少手間がかかりますが、その価値は十分にあります。
