
リバーブ=音を遠ざけるもの。
そんな常識をくつがえすのがAirwindowsの「VerbThic」です。
音に奥行きではなく“厚み”を加える、ユニークで実用的な無料プラグインを紹介します。
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VerbThic:音に“厚み”を加えるためのリバーブプラグイン

Airwindowsが手がけるリバーブプラグイン「VerbThic」は、音を遠くに置く一般的なリバーブとは異なり、“音を太く、手前に引き寄せる”というユニークな特性を持っています。
この記事では、その仕組みや使い方、設計思想について詳しく解説していきます。
VerbThicはこんなプラグインです
- 開発者はChris Johnson(Airwindows)
多くのオーディオエンジニアに支持される開発者で、数百種類もの無料プラグインを提供しています。 - VerbThicは「VerbTiny」の兄弟的存在
同じ動作原理ながら、音の空間処理において真逆の効果を持っています。 - 位置づけ:クラシックで人工的なリバーブ
奥行きよりも「音に質感や厚みを与える」ことに特化した設計です。
VerbThicとVerbTinyの違い
VerbThicは、先に公開された「VerbTiny」と構造的にはほぼ同じですが、以下の点が大きく異なります。
共通点
- 両者ともに4×4 Householder行列を使ったリバーブアルゴリズムを採用
- 音の空間感を演出するために「ピークエネルギー」に着目して設計されている
相違点(最も重要なポイント)
- VerbTiny:ピークエネルギーが高い → 音が遠くに感じられる
- VerbThic:ピークエネルギーが低い → 音が近く、厚みが出る
つまり、VerbTinyは“引きの空間感”、VerbThicは“前に出る密度感”を演出するのに向いています。
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VerbThicの使いどころと効果
VerbThicの効果をうまく引き出せるシーンは、以下のような場面です。
- ドラムやスネアに厚みを加えたいとき
音が奥に引っ込まず、存在感がアップします。 - ボーカルを自然に太くしたいとき
音が曇ったりぼやけたりせずに密度が増す感覚。 - トラック全体を“ミックスで浮かせる”のではなく、“詰める”ような処理
音が空間の奥に行かず、手前で混ざり合うため、ミックスに一体感を与えやすい。
技術的なこだわりポイント
VerbThicの設計には、開発者の細やかな技術的工夫が詰め込まれています。
- ピークエネルギー重視の設計思想
多くのリバーブがRMS(平均音量)を重視する中、VerbThicは“ピーク”に注目することで、空間感に独自のキャラクターを与えています。 - メモリ効率の最適化
使用する変数の見直しにより、プラグインのサイズを削減。DAW上でも軽快に動作します。 - TapeHackから派生した新しい飽和処理のアイデアも内包
altered sin()関数を応用した処理が含まれており、今後さらに掘り下げて開発される予定。
「遠く」ではなく「同じ深さ」に音を置くという発想
VerbThicの最大の魅力は、音を遠ざけずに厚みを与えるという点です。
- 従来のリバーブ:空間の“奥”に音を配置
- VerbThic:リスナーと同じ“深さ”にいながら、音に広がりと質感を与える
つまり、VerbThicを使うと「自然な音の存在感」を保ったまま、リッチで立体的なサウンドに仕上げることができます。
おすすめなユーザー
- 自然な太さをボーカルやスネアに与えたい人
- 奥に引っ込まないリバーブを探している人
- CPU効率の良いプラグインを求める人
- Airwindowsの哲学や設計思想に共感する人
まとめ:VerbThicは“音の密度をコントロール”するリバーブ
VerbThicは、空間の奥行きを演出する一般的なリバーブとは異なり、音に厚みや存在感を加えるための“空間系エフェクト”として非常にユニークな存在です。
Airwindowsの中でも非常に個性的な位置づけのVerbThic。空間処理における「常識」を覆すこのプラグイン、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか?
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