
Tyrell N6は、無料ながらプロ仕様のアナログシンセサウンドを提供する強力なソフトシンセです。
この記事では、基本的な使い方から実践的な音作りのテクニックまでを詳しく解説します。
初心者でも扱いやすく、シンセサイザーの基礎を学びながら高度なサウンドデザインが可能です。
Tyrell N6:無料で使える高品質なソフトシンセの決定版

Tyrell N6は、ドイツの音楽系オンラインマガジン「Amazona」とプラグインメーカー「u-he」が共同で開発した無料のソフトウェアシンセサイザーです。
元々は500ユーロで販売予定のアナログシンセを模したハードウェアプロジェクトでしたが、計画変更によりソフトウェアとして開発されました。
このシンセは、アナログライクなサウンドと多彩なモジュレーションを持ち、シンプルながらも本格的な音作りが可能です。
初心者から上級者まで幅広く使えるのが魅力です。
Tyrell N6の特徴

Tyrell N6の主な特徴を詳しく解説します。
無料ながら高品質なアナログモデリング
- 本格的なアナログシンセの音質
- アナログモデリング技術を採用し、温かみのあるサウンドを再現
- ヴィンテージシンセ特有の「ドリフト」(ピッチのわずかな揺れ)を再現可能
- 軽量設計
- 高品質なサウンドを提供しつつも、CPU負荷は低め
- DAW環境でも快適に動作
直感的なインターフェース
- 4つの主要エリアで構成
- コントロールバー
- オシレーターとミキサー
- フィルターとエンベロープ
- LFOとモジュレーションマトリクス
- 直感的に操作できるUI設計で、初心者でも扱いやすい
豊富なサウンドデザイン機能
- 2基のオシレーター
- 各オシレーターに複数の波形(サイン波、三角波、鋸波、パルス波)を搭載
- チューニング機能で、倍音成分を自在に調整可能
- サブオシレーターとリングモジュレーター
- 低域を強化するサブオシレーター
- 金属的な音を作れるリングモジュレーター
- アナログライクなフィルター
- ローパス、ハイパス、バンドパスを切り替え可能
- 12dB、24dB、36dB/Octのフィルターカーブを選択
- モジュレーションマトリクス
- 2つのLFOと2つのエンベロープを搭載
- MIDIコントローラーやベロシティでのモジュレーションも可能
多彩なボイシングとエフェクト
- 最大8ボイスのポリフォニー
- モノフォニック(単音)、ポリフォニック(和音)、レガート(滑らかな単音演奏)などを切り替え可能
- ユニゾン機能
- 2つ以上の音を重ねることで厚みのあるサウンドを作成
- 内蔵コーラスエフェクト
- クラシック、ドラマティック、アンサンブルの3種類を搭載
Tyrell N6の主な機能解説
ここからは、Tyrell N6の各機能について詳細に説明します。
コントロールバー
Tyrell N6の最上部に位置し、シンセ全体のグローバルなコントロールを担当します。
- DETUNE(デチューン)
- 全体のピッチを微調整(±50セント)
- ユニゾン時には、各ボイスのピッチをずらして厚みを追加
- TRANSPOSE(トランスポーズ)
- ±24半音(2オクターブ)の範囲で音程を変更
- VOICES(ユニゾン数)
- 1~8ボイスまでのポリフォニー設定が可能
- ユニゾン時のボイス数を増やすとより太いサウンドに
- DRIFT(ドリフト)
- アナログシンセ特有のピッチ変動を再現
オシレーターとミキサー
Tyrell N6のオシレーターは、2基のメインオシレーターと1基のサブオシレーターで構成されています。
- OSC1 / OSC2(オシレーター1・2)
- SHAPE(波形選択)
- OSC1:サイン波、三角波、鋸波、パルス波
- OSC2:鋸波とパルス波のブレンド
- FINE(微調整)
- OSC2のピッチを細かく調整(±50セント)
- SHAPE(波形選択)
- SUB(サブオシレーター)
- 1オクターブ下のパルス波を追加
- NOISE(ノイズ)
- ホワイトノイズ~レッドノイズの範囲で調整可能
- RING(リングモジュレーター)
- 金属的な倍音を加える
フィルターセクション
- CUT(カットオフ)
- フィルターの周波数範囲を設定(20Hz~20kHz)
- RES(レゾナンス)
- カットオフ周波数を強調
- 高くすると自己発振し、シンセ独特のピーキーな音が出せる
- VCF MODE(フィルターモード)
- LP/HP(ローパス&ハイパスのミックス)
- BP(バンドパス)
LFOとモジュレーション
- LFO(Low Frequency Oscillator)
- 2基のLFOを搭載
- 波形を選択して、ピッチやフィルターを周期的に変化させる
- エンベロープ(ADSR)
- VCA(音量用) と モジュレーション用 の2つを搭載
- 音の立ち上がり(アタック)、減衰(ディケイ)、持続(サステイン)、余韻(リリース)をコントロール
- モジュレーションマトリクス
- 2つのスロットを使い、ほぼすべてのパラメータを他の信号でモジュレーション可能
内蔵エフェクト
- Chorus(コーラス)
- シンプルながら効果的なコーラスエフェクト
- クラシック、ドラマティック、アンサンブルの3種類を選択可能
Tyrell N6の使い方・活用法
Tyrell N6の基本的な使い方から応用テクニックまで詳しく解説します。
まずは、Tyrell N6をインストールし、音を鳴らすまでの基本的な流れを説明します。
インストールとセットアップ
- ダウンロードとインストール
- u-he公式サイトからTyrell N6をダウンロード
- ZIPファイルを解凍し、インストーラーを実行
- 画面の指示に従い、VST/AUプラグインとしてインストール
- DAWでの読み込み
- インストール後、DAW(Ableton Live, FL Studio, Logic Proなど)を開く
- プラグインリストを更新し、Tyrell N6をトラックに追加
- すぐにプリセットを選んで音を鳴らせる
インターフェースの基本
Tyrell N6のインターフェースは、4つの主要エリアに分かれています。
- コントロールバー
- プリセットの管理やピッチ調整を行う
- オシレーター & ミキサー
- 音の基本波形を作成し、音量バランスを調整
- フィルター & エンベロープ
- 音色の明るさや時間変化を設定
- LFO & モジュレーションマトリクス
- 音の揺らぎや特殊効果を追加
基本的な音作りの手順
Tyrell N6で音作りをする際の基本的な手順を解説します。
波形を選ぶ(オシレーター設定)
- OSC1 / OSC2のSHAPEノブを調整
- サイン波:柔らかい音
- 三角波:暖かい音
- 鋸波(Saw):力強いリード音
- パルス波(Pulse):特徴的な明るい音
- SUBオシレーターを追加(低音補強)
- 1オクターブ下の矩形波を追加し、厚みを出す
- チューニング調整(FINE / TUNE)
- OSC2をOSC1と微妙にズラしてデチューン(厚みを増す)
音色の輪郭を作る(フィルター設定)
- カットオフ(CUT)を調整
- 高くすると明るい音
- 低くするとこもった音
- レゾナンス(RES)を調整
- 高めると独特の「ピーク感」のある音になる
- フィルタータイプを変更(VCF MODE)
- ローパス:滑らかなサウンド
- ハイパス:シャープなサウンド
- バンドパス:特定の周波数だけを強調
音の変化を作る(エンベロープ設定)
- ADSR(アタック・ディケイ・サステイン・リリース)を設定
- 短いアタック → パーカッシブな音
- 長いアタック → ゆっくり立ち上がるパッド音
- 長いリリース → 余韻のある音
- ベロシティで音の強弱をつける
- 強く弾くとフィルターが開くなどの設定が可能
音に動きを加える(LFO & モジュレーション)
- LFOを使って音に揺らぎを追加
- ピッチに適用 → ヴィブラート効果
- フィルターに適用 → ワウワウ効果
- ボリュームに適用 → トレモロ効果
- モジュレーションマトリクスで自由な変調
- 任意のパラメータにLFOやエンベロープを割り当て可能
活用法:具体的な音作りの例
Tyrell N6を使って、具体的なサウンドデザインの方法を紹介します。
分厚いシンセリードの作り方
- OSC1とOSC2をSaw波に設定
- 少しだけデチューンして厚みを追加
- フィルターをローパスに設定し、カットオフを少し下げる
- レゾナンスを少し上げ、アナログ感を出す
- アンプエンベロープのアタックを短くして、即座に鳴るように調整
- ユニゾンを2~4に設定し、さらに厚みを加える
温かみのあるパッドサウンド
- OSC1を三角波、OSC2をサイン波に設定
- SUBオシレーターを少し足し、低音を補強
- フィルターをローパスに設定し、カットオフを低めに調整
- エンベロープのアタックを長くし、スムーズに立ち上がる音に
- LFOをフィルターに適用し、微妙に揺らぎを加える
- コーラスエフェクトを適用し、広がりのある音にする
パーカッシブなシーケンス
- OSC1をパルス波に設定
- フィルターをバンドパスにし、レゾナンスを高める
- エンベロープのアタックを短くし、キレのある音に
- LFOをピッチに適用し、シーケンス的な揺らぎを作る
- MIDIノートを短く打ち込み、リズミカルなフレーズを作成
まとめ:U-he「Tyrell N6」プロ仕様のアナログシンセが完全無料!操作性抜群で無料とは思えないサウンドクオリティのシンプルで強力な無料シンセサイザー|DTMプラグインセール
この記事では、Tyrell N6の使い方と活用法について解説しました。
- インストールと基本操作:
DAWに読み込み、プリセットを活用 - 音作りの基礎:
オシレーター、フィルター、エンベロープの調整 - 応用テクニック:
LFOやモジュレーションで動きを加える - 具体的な音作り:
シンセリード、パッド、パーカッシブなサウンドなど
Tyrell N6は、無料でありながら本格的なアナログシンセとして幅広い音楽制作に活用できます。
ぜひ試して、自分だけのオリジナルサウンドを作り上げてみてください!
