
アナログコーラス特有の「揺れ」と「広がり」を、現代の制作環境で扱いやすく再現したプラグインが「Lupex Chorus」です。
シンプルな操作ながら、音に自然な奥行きを加えたい場面でしっかり役立ちます。
Lupex Chorus — Analog BBD Chorus:アナログ感を再現したステレオ・コーラスプラグイン

「Lupex Chorus — Analog BBD Chorus」は、クラシックなアナログ・コーラスの質感を現代環境で再現したVST3プラグインです。
開発には JUCE とCMakeが使われており、Linux・Windows・macOSに対応しています。
往年の名機、MXR M234 Analog Chorus のキャラクターからインスピレーションを得ており、単なるデジタル処理ではなく「揺らぎ」や「奥行き」をしっかり感じられる設計になっています。
Lupex Chorusの特徴
まずは全体像から見ていきましょう。
このプラグインの魅力は、シンプルな操作性と本格的なアナログ再現のバランスにあります。
アナログBBDスタイルのコーラス回路
- BBD(Bucket Brigade Device)方式を模したコーラス処理
- デジタルながら、わずかな揺れや不安定さを再現
- 温かみのある音像を作りやすい設計
デュアルチェーンによるステレオ処理
- 左右それぞれ独立したコーラス処理を実行
- モノラルでは得られない広がりを実現
- 空間系サウンドにしっかり厚みが出る
クアドラチャLFO(位相差90°)
- 左右で位相をずらしたLFOを使用
- ステレオイメージが自然に広がる
- 過度な揺れにならず、音楽的な広がりをキープ
MXRスタイルのステレオルーティング
- 左チャンネル:ドライ+ウェット
- 右チャンネル:ウェットのみ
- 奥行きのある自然なステレオ感を演出
トーンコントロール搭載
- Low / HighのシェルフEQを搭載
- ウェット音のみを調整できる設計
- ミックス時の馴染みが非常に良い
リアルタイム操作に強い設計
- Rate変更時のスムージング処理あり
- ピッチの変化が滑らか
- ライブ操作でも違和感が出にくい
バイパス機能
- フットスイッチ形式のバイパス
- LEDインジケーター付き
- 状態が一目で分かる
パラメーター詳細
操作できる項目はシンプルですが、それぞれが音作りにしっかり効きます。
Low(0〜100%)
- 低域のシェルフフィルター(70Hz〜800Hz)
- ウェット音の低音量感を調整
- モコモコ感を抑えたり、太さを足したりできる
High(0〜100%)
- 高域のシェルフフィルター(660Hz〜フラット)
- コーラスの明るさをコントロール
- キラキラ感の調整に有効
Level(0〜100%)
- ウェット信号の音量
- ドライ音は常に100%固定
- ミックスバランスを直感的に調整できる
Rate(0.1〜5.0 Hz)
- LFOのスピード
- 遅くするとゆったりした揺れ
- 速くするとビブラートに近い効果
Depth(0〜100%)
- モジュレーションの深さ
- 浅めで自然な厚み
- 深めでしっかりした揺れ
Bypass(On/Off)
- エフェクトのオン/オフ切り替え
- 原音との比較に便利
音のキャラクターと使いどころ
Lupex Chorusは、いわゆる「派手なエフェクト」ではありません。
むしろ、さりげなく音を良くするタイプです。
向いている用途
- ギターのクリーントーンに厚みを加える
- シンセパッドの広がりを強化
- ボーカルのダブリング風処理
- エレピやアルペジオの立体感アップ
音の印象
- ナチュラルで柔らかい揺れ
- ステレオの広がりが非常に滑らか
- デジタル臭さが少ない
特に、左右で独立した処理と位相差LFOの組み合わせが効いており、「わざとらしくない広がり」が作りやすい点が大きな強みです。
技術的なポイント
音質面でも、細かい工夫が見られます。
- 2倍オーバーサンプリングによる高音質化
- DCブロッキング処理で不要な成分を除去
- Hermite補間による滑らかなディレイ変化
- パラメータースムージングで操作時のノイズ低減
- 約13.5msを基準としたディレイキャリブレーション
こうした積み重ねが、「アナログっぽさ」を支えています。
動作環境とビルド情報
開発者向けの情報も簡単にまとめておきます。
必要環境
- JUCE 7以上
- CMake 3.24以上
- C++20対応環境
対応OS
- Linux
- Windows
- macOS
ビルド手順(概要)
- リポジトリをクローン
- CMakeでビルド設定
- Releaseビルドを実行
比較的オーソドックスな構成なので、環境が整っていればビルドは難しくありません。
まとめ:Fauz Audio「Lupex Chorus — Analog BBD Chorus」位相差LFOとデュアルステレオ処理で音に奥行きを加えるアナログ風コーラス|DTMプラグインセール
Lupex Chorusは、派手さよりも「質感」を重視したコーラスプラグインです。
- アナログBBDの揺らぎを再現
- ステレオの広がりが自然
- シンプル操作で実用性が高い
こうした特徴から、ミックスの中で“さりげなく効く”タイプのコーラスを探している方に向いています。
音を大きく変えるのではなく、少しだけ良くする。
その絶妙なバランスを求めるなら、一度試してみる価値は十分にあります。
