
ストリングス音源を使っていて
音が綺麗だけど、どこか平坦で動きがない
と感じたことはありませんか?
特に映画やゲーム音楽、アンビエント系の制作では、感情の揺れや空気の流れまで表現できる“動きのある音”が求められる場面も多いはずです。
北欧的な感性を活かした独自の「Scandi Sound」と、細やかな変化に富んだサンプル構成によって、従来のストリングス音源とは一線を画す存在です。
この記事では、Liikkuvaの特徴や使い方を実際の使用感とともに詳しく解説します。
導入前に知っておくべきポイントを押さえたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
Liikkuva Stringsとは?Pulse Audioが手がける新感覚ストリングス音源

Pulse Audioが開発した「Liikkuva Strings(リックヴァ・ストリングス)」は、“動き”をコンセプトにしたKontaktベースのストリングス音源です。
従来のオーケストラ音源では表現しきれない、感情の揺らぎや空気の流れを音に乗せることを目的に設計されました。
そのため、ただの音源としてではなく、音楽の中に“命を吹き込む”ためのツールとして注目を集めています。
- 動的な音作りを重視
ストリングスの音が静的ではなく、常に揺れ動くように設計されており、音楽に自然な抑揚が生まれます。 - 北欧の音楽美学を反映
「Scandi Sound」と呼ばれる透明感のある音作りを意識し、静けさと緊張感が共存するサウンドを実現。 - Kontaktフル版で使用可能
Kontakt Playerには非対応ですが、Kontakt Full版を持っていればすぐに使用を開始できます。 - 映像・ゲーム・アンビエント音楽との相性抜群
シンプルながらも感情を強く引き出すサウンドは、シネマティックな作品に特に効果を発揮します。
Scandi Soundとは?Liikkuvaの音作りに込められた思想

Liikkuvaが持つサウンドの独特な世界観は、「Scandi Sound(スカンジ・サウンド)」というキーワードで表現されます。
これは、北欧特有の静けさ、透明感、そして感情の陰影を大切にする音楽文化を反映したものです。
単なるストリングスの音ではなく、空気の動きや微細な表情を音で描くことを目指しています。
この思想に基づく音作りの特徴は以下の通りです:
- 空間と静寂を重視した音設計
音の隙間や余白を活かすことで、静かな中にも深い感情が浮かび上がるような音に仕上がっています。 - 中域の厚みと高域の透明感のバランス
派手さは抑えつつも、音楽全体を優しく包み込むような存在感があります。 - 繊細なモジュレーションで表情が豊かに
ノイズや不安定さをあえて取り入れ、人間的な揺れを感じられるサウンドを実現しています。 - 映画やドラマの音楽にマッチする情緒性
言葉では表現しづらい感情を音で伝えたいときに、自然に溶け込むような音色です。 - 北欧文化に根ざした音楽美学の応用
冷たさの中に温かさを感じさせるような音が、作曲者の感性をより深く表現する手助けになります。
Liikkuva Stringsの特徴を徹底解説|“動き”のあるストリングスの秘密

Liikkuva Stringsが他のストリングス音源と一線を画す理由は、その名の通り「動き(=Liikkuva)」を軸にした設計思想にあります。
一般的なストリングス音源は、しっかりとした基盤がある反面、音に躍動感がなく“止まって聴こえる”ことがあります。
Liikkuvaは、その物足りなさを補うように、音そのものが流れるように動き続けるようデザインされています。
この“動き”を生み出す特徴は以下のような点にあります。
- サンプルごとの揺らぎや変化が自然
単一のノートでさえ、細かく揺れるように表現されており、平坦さがありません。 - 奏法によるニュアンスのバリエーションが豊富
音が止まらず、演奏全体が呼吸をしているかのような感覚を得られます。 - 音のアタックとリリースの滑らかさ
ノートの出だしや終わりが極めて自然で、連続した演奏でも違和感がありません。 - レイヤー用途としても効果的
他のストリングス音源に重ねることで、動的な要素を追加でき、より立体的なサウンドが作れます。 - 静と動のコントラストがはっきりしている
静かなパートでも空気が止まらず、聴き手を引き込む力があります。
特徴1:感情を動かすキネティックな音の流れ

Liikkuvaの最大の魅力は、音が“止まっていない”ことにあります。
まるで風が吹き抜けるように、音が揺れ、流れ、変化し続ける。
この特性は「キネティック(動的)」と表現され、聴き手に自然な情緒の移り変わりを感じさせます。従来のストリングス音源では表現が難しかった、繊細な感情の“揺れ”を再現できるのが、Liikkuvaの大きな個性です。
- 常に変化するサウンドの質感
一つひとつの音に揺らぎがあるため、同じ音を連打してもまったく同じにはならず、有機的に響きます。 - 緊張と緩和を生み出す音の流れ
音の始まりから終わりまでにかけて、微細な変化があり、静かに始まりふっと消えていくような表現が可能です。 - 情景や感情に寄り添った表現がしやすい
たとえば映画やゲームのワンシーンで、セリフや映像と一体になるような演出ができるため、作曲者の意図が伝わりやすくなります。 - 常に“動いている音”だから、レイヤーにしても埋もれない
他の音源に混ぜたときでも、Liikkuvaの持つ揺れが前に出てきて、音の流れに表情を加えてくれます。
特徴2:個性的なアーティキュレーションが充実
Liikkuvaは、ただ美しい音を鳴らすだけのストリングス音源ではありません。
最大の特徴のひとつは、一般的なオーケストラ音源ではあまり見られないユニークなアーティキュレーション(奏法)が多数収録されている点です。
これにより、特定の表現に特化した演出が可能となり、サウンドデザイン的な側面でも大きな武器となります。
以下に、Liikkuvaに収録されている代表的なアーティキュレーションを紹介します。
- Plucks Alt(プラックス・オルト)
ピチカートのような奏法ですが、粒立ちが良く、弾むような質感が特徴です。
リズムに変化をつけたいときや、スパイスとして重ねる用途にも最適です。 - Sirens(サイレンス)
意図的に不安定なピッチで揺れる音。
緊張感や不安感を表現するのに効果的で、幻想的な演出にぴったりです。 - Swells(スウェル)系奏法
音が徐々に大きくなったり、逆に消えていくような表現が可能。
場面の切り替えや盛り上がりの前後に自然な変化を加えられます。 - Sustains with motion(動きのある持続音)
一定の音を伸ばしていても、音の内部でわずかに揺れや変化があり、単調になりません。 - Transitional articulations(遷移的な奏法)
場面転換やテンションの変化をスムーズに繋ぐための中間表現が豊富で、流れるような展開を作れます。
特徴3:UIがシンプルで扱いやすい
Liikkuvaは、音作りに集中できるよう、ユーザーインターフェース(UI)がとてもシンプルに設計されています。
音源にありがちな複雑な設定画面や煩雑なルーティングは一切なく、直感的に操作が可能です。
これにより、初心者でもすぐに音を鳴らし、感覚的に演奏表現を楽しむことができます。
- Kontakt上で動作し、見慣れた画面構成
Kontaktフルバージョンを使用するユーザーにとって、迷うことのないシンプルな設計です。 - 必要最小限のパラメーター構成
リバーブ、モジュレーションなど基本的な機能だけを備え、煩雑さを排除しています。 - ReverbにはKontakt内蔵のConvolutionを採用
クセのない自然な響きが特徴。より豊かにしたい場合は外部リバーブとの併用もおすすめです。 - 即戦力として使えるプリセット設計
初期状態で十分な完成度があり、細かな調整なしでも楽曲制作に取り入れられます。 - サウンド選びもストレスフリー
アーティキュレーションごとに音色が分類されているため、目的の音にすぐたどり着けます。
特徴4:自然なリリースで演奏が滑らか
ストリングス音源を使用する中で、「音の終わりが不自然」「ぶつ切りのように感じる」といった違和感を抱いたことはありませんか?
Liikkuvaでは、そうしたストレスを感じさせない、自然で滑らかなリリース設計がなされています。
音の終わり方まで丁寧に作り込まれているため、演奏全体がよりなめらかに聴こえるのです。
- 音の減衰が自然にフェードアウトする設計
急激に音が切れることなく、空間に溶け込むように消えていきます。 - 急停止感のないサンプル構成
リリース時の処理が丁寧で、「パツッ」と切れるような音が発生しません。 - モジュレーション操作と連動したダイナミクス変化
modホイールで音量を下げながら演奏すると、自然に余韻が残るようにコントロールできます。 - レガート演奏時の滑らかさにも貢献
リリースの処理が自然なことで、ノート同士のつながりも綺麗に感じられます。 - アンサンブルでの混ざりやすさが向上
他の音源との重ね使いでも違和感が出にくく、ミックスの中でも自然に馴染みます。
Liikkuva Stringsのユーザーレビューと便利機能

Liikkuva Stringsは、スペックや音質の面で優れているのはもちろんですが、実際に使ってみると「気が利いているな」と思える便利な機能がしっかり備わっている点も魅力です。
どんなジャンルにも合う万能型というよりは、特定の用途にグッと刺さる“こだわり型”。
それだけに、実際の使用体験を通じてその良さがじわじわと感じられます。
- 動きのある音の気持ちよさ
演奏していて音が常に変化するため、弾いているだけで没入感があり、表現の幅も広がります。 - レイヤー時の相性が抜群
他のストリングス音源と重ねても埋もれず、むしろ“動き”が加わることで全体が引き締まります。 - エフェクトとの相性が良い
空間系エフェクトやグラニュラー加工に馴染みやすく、サウンドデザイン的な応用も可能です。 - 即戦力としての使いやすさ
細かい調整をしなくても、立ち上げてすぐに印象的な音が出せるので、制作スピードも落ちません。 - 無駄がない操作性と視認性
シンプルなUIによって操作ミスが起きにくく、作業中のストレスを感じにくい設計になっています。
モジュレーションホイールでの表現力
Liikkuvaのもうひとつの強みは、モジュレーションホイール(Mod Wheel)を使った表現のしやすさにあります。
一般的なストリングス音源でもModホイールでダイナミクスを調整する機能はありますが、Liikkuvaではその効果がとてもナチュラルかつ滑らかで、演奏中に感情を込めるのが非常に楽になります。
この機能を活かすポイントは以下のとおりです。
- 滑らかに強弱を変化させられる
Modホイールを操作するだけで、音が自然に盛り上がったり静まったりし、作曲中のニュアンスづけがとても直感的になります。 - 音の質感そのものが変化するように感じられる
単なるボリュームの変化ではなく、弓の圧力や奏者の気持ちが変わるような“人間的な動き”が表現されます。 - スウェル表現や情緒的な演出に最適
ゆっくりとModホイールを動かすことで、時間経過に沿った自然な盛り上がりを作れます。シーンの切り替わりやドラマティックな展開にぴったりです。 - 作業効率が上がる
オートメーションを描かなくても手元でコントロールできるため、スケッチ段階でもしっかりとした表現ができます。 - 即興演奏時にも感情を込めやすい
鍵盤を弾きながらModホイールを操作することで、リアルタイムで音の動きを操れる感覚が得られます。
ランダムスタート機能で人間味のある演奏
Liikkuvaには、他のストリングス音源にはあまり見られない便利な機能として「ランダムスタート」が搭載されています。
これは、同じサンプルを再生する際に毎回異なる位置から再生される仕組みで、機械的なループ感や不自然な繰り返しを抑えることができます。
結果として、演奏全体が人の手によるような自然な揺らぎを持ち、より音楽的な表現が可能になります。
- 繰り返し演奏時の“機械っぽさ”を軽減できる
まったく同じタイミング・波形で再生されないため、打ち込み臭さがぐっと減ります。 - 演奏にランダム性が加わることで人間味が出る
微妙なズレや変化が、実際のストリングス演奏のようなリアルさを生み出します。 - 短いフレーズでも飽きにくい
同じモチーフを繰り返してもニュアンスが変わるため、作業中に感じる単調さを回避できます。 - リズムパートにも活用できる
ピチカートなどのリズミカルなパッチと組み合わせると、グルーヴ感のあるフレーズに仕上がります。 - レイヤー使用時も自然な仕上がり
他音源との重ね使いの際も、Liikkuva特有のランダム性が生きて音の立体感が向上します。
Liikkuva Stringsはこんな人におすすめ

Liikkuvaは、オーケストラ音源としての完成度も高い一方で、明確な方向性を持った“尖った”ライブラリです。
誰にでも万能というわけではありませんが、特定の目的やスタイルを持った作曲家・クリエイターにとっては、非常に強力な武器になります。
その特性を踏まえると、以下のような方にとてもおすすめです。
- シネマティックな表現を重視する作曲家
映画やドラマの劇伴、ゲームのBGMなど、感情の流れを音で描きたい人にはピッタリです。 - アンビエント系・ポストクラシカル系の制作をしている方
Liikkuva特有の動きのある音は、静と動のバランスが求められるジャンルと非常に相性が良いです。 - 他のストリングス音源では物足りなさを感じていた方
「綺麗だけど平坦」と感じる方に、音のうねりや表情を加える手段として強くおすすめします。 - サウンドデザイン用途にもストリングスを使いたい人
リバーブやグラニュラーエフェクトとの相性が良く、非伝統的なアプローチにも柔軟に対応できます。 - Kontakt操作にある程度慣れている中級者以上の方
キースイッチ非対応などの仕様も含め、音源の特性を理解し、工夫して使う余裕がある人に最適です。
購入前に知っておきたいLiikkuvaの注意点と対策
Liikkuvaは非常に完成度の高いストリングス音源ですが、購入前に知っておくべきいくつかの注意点があります。
特に他の音源と比較したときに、機能面での違いや制限が気になる方もいるかもしれません。
そうした部分もあらかじめ理解しておくことで、導入後の不満やトラブルを回避できます。
- Kontakt Full版が必須
Kontakt Playerでは動作しないため、事前にフルバージョンを所有している必要があります。
まだ持っていない場合は、別途購入が必要です。 - キースイッチによる奏法切り替えが非対応
現時点では、ひとつのインストゥルメント内で奏法をリアルタイムに切り替える仕組みがありません。
必要に応じて、DAW内でマルチトラック構成を使うことで対応できます。 - プリセットの種類は多くないが質が高い
パッチ数は限定的ですが、どれも即戦力になるように設計されています。
質を重視する方に向いています。 - カスタマイズ性はやや控えめ
シンプルなUIの代わりに、細かい音作りをしたい場合には限界を感じるかもしれません。
逆に、即戦力の音が欲しい方には最適です。 - Kontaktの基本的な操作知識は必要
Kontaktに不慣れな場合は、導入に少し時間がかかる可能性があります。
操作に慣れるためにも、事前に公式マニュアルや解説動画の確認をおすすめします。
パッチ切り替えの工夫が必要な点
Liikkuvaは、収録されているアーティキュレーション(奏法)がどれも個性的で魅力的ですが、現状では1つのインストゥルメント内で複数のパッチを切り替える機能(キースイッチなど)には対応していません。
そのため、異なる奏法を切り替えながら演奏したい場合には、ユーザー側で少し工夫が求められます。
この仕様に対して、以下のような対策を取ることで快適に活用できます。
- DAW側で複数のトラックを使用する
奏法ごとにLiikkuvaのインスタンスを分け、それぞれを別トラックに配置します。
これにより、アレンジの自由度が高まり、細かい調整もしやすくなります。 - MIDIチャンネルごとの割り当てを活用
Kontakt内でマルチティンバー設定を行えば、ひとつのKontaktインスタンス内で複数パッチを立ち上げ、MIDIチャンネルごとに操作することも可能です。 - 外部プラグインでのマネージメント
パッチ切り替えに特化したツール(例:Blue Cat’s PatchWorkやプログラムチェンジ対応のMIDIツール)を併用することで、柔軟な操作が可能になります。 - 用途ごとに使い分けを前提とする割り切りもアリ
Liikkuvaはひとつのアーティキュレーションで完結することも多いため、必要以上に切り替えにこだわらず、演奏スタイルごとに音源を使い分けるという考え方も有効です。 - 制作フローにあらかじめ組み込む
事前に構成や表現したい感情を整理し、必要なパッチを準備しておけば、切り替えの煩雑さを感じずにスムーズに制作を進められます。
Liikkuvaの基本スペックと導入方法
Liikkuvaは、Kontaktフォーマットで提供されるストリングス音源です。
動作にはKontaktのフルバージョンが必要で、導入も非常にシンプルです。音源の容量は軽量ながらも、表現力は豊かで、即戦力としてすぐに使える仕様になっています。
初めてPulse Audio製品を使う方でも、ストレスなく始められるのが魅力です。
- 対応フォーマット:Kontakt(フルバージョン)専用
Kontakt Playerでは使用できないため、事前にフル版を用意しておく必要があります。 - 公式ダウンローダー経由でインストール可能
Pulse Audio独自のダウンロードツールを使って簡単にインストールできる仕組みです。 - ライブラリ容量は軽め
ストレージの負担を抑えつつ、動きのあるサウンドを実現できるのが特徴です。 - シンプルなUIで初心者も安心
複雑な設定やルーティングが不要なため、インストール後すぐに音を鳴らして楽しめます。 - Mac / Windows 両対応
Kontaktが対応していれば、どちらの環境でも問題なく動作します。
まとめ:Pulse Audio「Liikkuva」ストリングス音源に“動き”と“命”を加える!シンプルなのに奥深い、動きと空気感に満ちた、静寂と揺らぎが共存する感情的ストリングス音源|DTMプラグインセール
今回の記事では、Pulse Audioが手がけたストリングス音源「Liikkuva」の魅力や使い方について詳しくご紹介しました。
以下に、要点をまとめます。
- Liikkuvaは“動き”を重視したストリングス音源で、
感情表現が豊か - 北欧的な「Scandi Sound」をベースに、
透明感と繊細さを両立 - 特徴的なアーティキュレーションが多数収録され、
サウンドデザインにも対応 - モジュレーションホイールやランダムスタート機能などで、
自然な演奏が可能 - UIがシンプルで直感的、
導入も簡単 - キースイッチ非対応だが、
工夫次第で柔軟な運用が可能 - 映像・ゲーム音楽やアンビエントなど、
表現力を重視する制作に特におすすめ
こうして振り返ると、Liikkuvaは単なるストリングス音源ではなく、音楽の流れに“動き”と“感情”を与えるためのツールであることがよくわかります。
従来のストリングス音源に物足りなさを感じていた方には、まさに新しい創作のきっかけとなるはずです。
作品に深みを加えたい方、もっと“語りかける音”を求めている方は、ぜひ一度Liikkuvaを試してみてください。