
温かいエレピの低音を、容赦なく歪ませる。
ロックやオルタナ系のトラックに、ひと味違うローエンドを加えたい人に向いています。
Icky Bass:エレピ低音を凶悪ファズで暴れさせた、主役級ベース音源

あの“ざらつき”をまとった、強烈なローエンドサウンド。
The Crow Hill Companyが展開するVaultsシリーズに、ひときわ異彩を放つ新作が加わりました。
その名も「Icky Bass」。
温かみのあるエレクトリック・ピアノの低音を、凶暴なファズペダルでねじ伏せる。
そんな実験精神あふれる一本です。
“Icky”の由来
この名前は、Icky Thumpにちなんでいます。
ガレージロック特有の荒々しさ。
歪みと衝動を前面に押し出した音像。
そのスピリットを、鍵盤ベースという少しマニアックな楽器で再構築したのがIcky Bassです。
ベースなのに鍵盤?

ベースなのに鍵盤の理由は、以下の通りです。
Fender Rhodes Piano Bassとは
Icky Bassの核となる楽器は、Fender Rhodes Piano Bassです。
この楽器を開発したのは、Harold Rhodes。
1960年に登場しました。
一般的なフルサイズのローズピアノよりも前の時代です。
開発の背景
当時のライブ現場では、
- ベーシストがいない編成
- キーボーディストが低音も兼任するスタイル
- コンパクトで持ち運びやすい機材への需要
こうしたニーズがありました。
そこで生まれたのが、低音域に特化したコンパクトな鍵盤楽器。
それがPiano Bassです。
なぜ広まらなかったのか
Harold Rhodesは大きな期待を寄せていました。
しかし結果として、主流にはなりませんでした。
理由はシンプルです。
- バンドの多くはエレクトリック・ベースを選んだ
- 70年代にフルサイズのRhodesが進化
- 大型モデルでも十分な低音が出せるようになった
実用面での優位性が薄れていったのです。
その結果、生産数は少なめ。
現存個体はレアで、コレクターズアイテムになっています。
音のキャラクター
構造自体は通常のRhodesと同じく、
- タイン(音叉状の金属片)
- ピックアップ
を使った発音方式です。
ただし、音の印象はかなり違います。
- アタックがタイト
- パーカッシブ
- 押し出しが強い
- 真空管アンプを通すと唸るような質感
この特徴を象徴する存在が、Ray Manzarekです。
彼はThe Doorsで、
- 左手でPiano Bassのベースライン
- 右手でオルガン
という高度な同時演奏を行いました。
あの催眠的でサイケデリックなバンドサウンド。
その土台を支えていたのが、この鍵盤ベースです。
さらに“汚す”という発想
さらに“汚す”という発想は、以下の通りです。
Knife Dropファズを通す
今回、Crow HillはこのRhodes Bassをそのままでは終わらせませんでした。
信号を通したのは、EventideとJack Whiteが共同開発した“Knife Drop”ファズペダル。
このペダルは、
- ファズ
- アナログシンセ的ボイス
を融合させたハイブリッド設計です。
特徴は次の通り
- サブオクターブ生成
- 攻撃的なフィルターサウンド
- シンセのようなうねり
温かいエレピの低音を、モンスター級の歪みへ。
発想が潔い。
レコーディング環境
録音はCrow Hill HQで実施。
DIには、名機Neve 1073を使用しています。
太く、芯があり、存在感のあるローエンド。
録りの段階から妥協はありません。
GUIとエフェクト
Icky Bassは、単に「歪んだサンプル」を鳴らすだけではありません。
直感的なGUIで、
- ファズの汚れ具合
- ベースの表情
- ダイナミクス
を細かくコントロールできます。
さらに内蔵エフェクトとして、
- AUTOWAH
- CHORUS
- PHASER
- REVERB
を搭載。
音作りの方向性は大きく分けて3つです。
- ガレージロック的な荒れたベース
- シンセベース風のうねる低音
- サイケデリックで空間的なベースライン
トラックの“土台”というより、楽曲の主役に立てるベース。
そんな立ち位置です。
どんな人に向いているか
Icky Bassは、万人向けの万能ベースではありません。
だからこそ刺さる人には深く刺さります。
特におすすめなのは、
- ロックやガレージ系を制作している人
- ローファイ、オルタナ系のプロデューサー
- シンセベースに飽きた人
- 曲の低音をもっと個性的にしたい人
「普通のベースでは物足りない」
そんな瞬間に試してほしい一本です。
まとめ:The Crow Hill Company「Vaults,Icky Bass」温かくパーカッシブなエレピ低音が、モンスター級の歪みへと変貌!サブオクターブと唸る歪みで主役を奪う、攻撃的ベース音源|DTMプラグインセール
Icky Bassは、
- 希少なRhodes Piano Bass
- Knife Dropファズ
- Neve 1073による録音
この組み合わせから生まれました。
温かい。
しかし荒い。
そして攻撃的。
クリーンなエレピを、あえて極端な歪みに通す。
その大胆さが、この音源の魅力です。
ベースを支え役で終わらせない。
低音にキャラクターを与えたい。
そんなクリエイターにとって、Icky Bassは強力な武器になるでしょう。
