
リアルなキャビネットの音を、プラグインでどう再現するか?
AirwindowsのCabs2は、その問いに独自のアプローチで挑んだフィルター系プラグインです。
この記事では、そのサウンド特性と使い方の魅力を、初心者にも分かりやすく解説します。
無料配布
CONTENTS
Cabs2:Airwindowsが生み出した異色のキャビネットシミュレーター

Airwindowsが公開しているプラグイン「Cabs2」は、ギターキャビネットのような音響特性を再現するために作られたユニークなエフェクトです。
しかし、一般的なキャビネットシミュレーターとは大きく異なるアプローチを取っています。
Cabs2の特徴と基本概要
- フェーズ(位相)の歪みを利用した独自のキャビネットシミュレーター
- Cabs2は、正確なスピーカーのモデリングではなく、スピーカーを通した音に生じる“非線形で乱れた位相特性”を再現。
- この“悪いEQ”のようなフィルターによって、リアルなキャビネットの音を思わせる「クセ」のあるトーンを作り出します。
- シンプルな構造:バンドパスフィルター
- 高域のローパスと低域のハイパスで構成。
- それぞれのフィルターは非常に急峻で、しかも意図的に位相を崩すように設計されています。
- 物理的な共振やブレイクアップモードは再現していない
- 実際のスピーカーが持つ共振、コーンの歪み、エネルギー消失などの物理挙動は含まれていません。
- あくまで“位相の乱れによるテクスチャ”に焦点を当てています。
Cabs2が生まれた背景と開発経緯
- PointyGuitarから始まった実験
- 開発者Chrisは、従来のIR(インパルスレスポンス)やEQでは得られない“箱っぽさ”を求めて独自のフィルター構造を開発。
- AngleFilterという不安定なフィルターを使って、「アンプっぽい音」をソフトウェアだけで作る試みがスタート。
- PointyDeluxeの登場
- PointyGuitarの延長線で、より激しく過激なサウンドを作り出すフィルターへと進化。
- 周波数帯がかけ離れているとフィルターが暴走し、強烈なサチュレーションと過密なミックスを生み出します。
- そしてCabs2へ
- 「Pointy系の過激さ」を抑え、キャビネットライクなフィーリングだけを抽出。
- 実機のシミュレーションではないけれど、まるで本物のスピーカーを通したような色気ある質感を再現。
Cabs2のサウンド特性と用途
- ミックス全体で使える“色付けツール”
- ギターだけでなく、ドラム、ボーカル、シンセなどにも使用可能。
- 位相の乱れが、特定の帯域に「スピーカーを通したような味付け」を与えます。
- ローカット・ハイカットだけでなく“移行の質感”をコントロール
- 一般的なEQで周波数を削ると、味気なくなることもあります。
- Cabs2では、カットオフ部分に独特の“色”がつき、滑らかで自然な落ち方を演出可能。
- ConsoleXやConsoleHとの連携を想定
- 今後リリース予定のミキシングコンソールプラグイン(ConsoleHなど)に組み込むことも検討中。
- 特にヒップホップのようなジャンルでは、フィルターの質感が重要な要素になるとのこと。
こんなときにCabs2を試すべき
- ギターのDIトラックを“キャビネット通した感”にしたいとき
- あえて“良くないEQ”を使って個性的な音に仕上げたいとき
- 音が素っ気なく感じるときに、ミックスにテクスチャを加えたいとき
- ハイパス・ローパスだけでは物足りないときに、より音楽的なシェーピングを求めるとき
Cabs2の本質は「創造的なフィルター」
Cabs2は、単なるスピーカーの模倣ではありません。
Chrisは、「正しいフィルターだけを追い求めていたら、一生たどり着かない」音の世界をこのプラグインで示しています。
- リニアフェーズEQのような“正しさ”ではなく、
- スピーカーを通したときに生じる“意図しない美しさ”を抽出しているのがCabs2です。
まとめ:Airwindows「Cabs2」EQでもIRでもない独自のアプローチで“リアルなスピーカー感”を生む、位相の乱れを活かす革新的フィルタープラグイン|DTMプラグインセール
Cabs2は、正確なキャビネットの再現を目指すものではなく、「位相が乱れた音の質感」を武器に、ミックスやサウンドデザインに新しい選択肢を与えてくれるフィルタープラグインです。
- 位相の乱れを意図的に使った“非線形フィルター”
- 正確なキャビネットモデリングではなく、リアルな質感の再現
- ミックス全体で使える、創造的なEQ代替としても有効
- ギター以外にもドラムやボーカルなど多用途に活用可能
Cabs2は、EQでもIRでもない新しい音作りのアプローチを提供してくれます。
もし「音に何か足りない」と感じたら、ぜひ一度このプラグインを試してみてください。
“正しさ”を捨てたところに、音楽的な表現が広がっています。
無料配布
