
アナログ機材のような揺らぎと存在感を、ソフトシンセで再現した「Void Wave Synth」。
デュアル・ウェーブテーブル構成に加え、本格的なラダーフィルターや細かなアナログモデリングを搭載した、かなり作り込まれたシンセです。
ベースやリードを太く鳴らしたい人はもちろん、動きのあるパッドや質感重視のサウンドメイクにも向いています。
Void Wave Synthとは?

「Void Wave Synth」は、Ollie Nicklin が開発しているデュアル・ウェーブテーブル・シンセサイザーです。
ベース、リード、パッド、プラックなど、存在感のあるサウンド作りを強く意識して設計されています。
対応形式はVST3を中心としており、macOSではAUやスタンドアロン版にも対応。
現在はBeta v0.9として公開されています。
特徴的なのは、単にデジタルらしいクリアな音を目指すのではなく、「アナログ機材らしい揺らぎ」や「回路のクセ」まで細かく再現しているところです。
特にフィルターやピッチドリフトの作り込みはかなり本格的で、ソフトシンセながらハードウェア感のある鳴り方を狙っています。
Void Wave Synthの主な特徴

Void Wave Synthの特徴は、以下の通りです。
デュアル・ウェーブテーブル・オシレーター搭載
Void Waveは、2基のウェーブテーブルOSCを搭載しています。
それぞれに64スロットを用意。
工場出荷時のウェーブテーブルに加え、ユーザー自身でWAVやAIFFファイルを読み込むことも可能です。
読み込んだ波形は、
- 2048サンプル
- 256フレーム
へリサンプリングされます。
さらに内部では4倍オーバーサンプリング処理が行われ、エイリアシング対策も実装されています。
そのため、高域でも比較的滑らかな音を維持できます。
ウェーブテーブルの動かし方が豊富
OSCモードは以下の3種類です。
- Single
- 固定フレーム再生
- Morph
- 手動モーフィング
- Scan
- 自動スキャン
Scanモードでは、0〜4Hzでウェーブテーブル位置を自動変化できます。
動きのあるパッドや、有機的なテクスチャ制作と相性が良い設計です。
強力なユニゾン機能
各OSCには最大8ボイスまでのユニゾンを設定できます。
設定可能な項目もかなり細かめです。
- Detune
- Stereo Width
- Voice数
- Pan
- Fine Tune
- Coarse Tune
などを個別に調整可能。
単純に音を太くするだけではなく、広がり方や揺れ方までコントロールできます。
アナログ感を生み出す「Analogue Character」
Void Waveの大きな特徴が、この「Analogue Character」システムです。
これは常時ONになっており、各ボイスに対して微細な揺らぎやクセを加えます。
実装されている要素はかなり本格的です。
ピッチドリフト
各ボイスごとに独立したブラウン運動ベースのピッチ変動を加えます。
揺れ幅は±1.5セント。
単なるランダム揺れではなく、アナログ機材特有の「ゆっくり漂う感じ」を再現しています。
スペクトルドリフト
ウェーブテーブル位置も微妙に変動します。
その結果、静止した音になりにくく、長く鳴らしても自然な変化を維持できます。
ノートトランジェント
ノートオン時に約4msだけ3セントのピッチ変化を発生。
これはトランジスタ回路が安定する瞬間をシミュレートしたものです。
かなりマニアックですが、こうした細かな処理が「ハードっぽさ」につながっています。
マイクロLFO
ユニゾンボイスそれぞれに微細なLFOを搭載。
- Pitch
- Level
- Pan
へ独立して揺れを加えます。
結果として、非常に自然なビート感や厚みが生まれます。
フィルターがかなり強い
Void Waveは8種類のフィルターを搭載しています。
中でも注目なのが「LP24 Huovilainen Ladder Filter」です。
これは2004年のHuovilainen Moog Ladderモデルをベースにした設計で、
- 4段tanhサチュレーション
- 自己発振対応
- アナログ風サチュレーション
などを実装しています。
Resonanceを上げた時の暴れ方にもかなりこだわっている印象です。
そのほかのフィルター
搭載フィルター一覧はこちら
- LP12
- HP12
- HP24
- BP
- Notch
- Comb
- Formant
Formantフィルターでは、
- 800Hz
- 1200Hz
- 2600Hz
に固定された3つのバンドパスを使用。
母音っぽいキャラクターを作れます。
エンベロープとLFOも柔軟
エンベロープは3系統。
- Filter ENV
- Amp ENV
- Free ENV
を搭載しています。
しかも全パラメータを同時表示できるUI設計です。
切り替え式ではないため、音作り中のストレスが少なめです。
DAHDSR対応
一般的なADSRではなく、DAHDSR構成です。
- Attack
- Hold
- Decay
- Sustain
- Release
を細かく調整できます。
カーブも、
- Linear
- Exp
- Log
から選択可能です。
LFOも多機能
LFO波形はかなり豊富です。
- Sine
- Triangle
- Saw
- Ramp
- Square
- Sample & Hold
- Smooth Random
テンポ同期にも対応しており、1/32〜8barsまで設定できます。
さらに、
- One-shot
- Retrig
- Free
などの動作モードも搭載されています。
Mod Matrixが強力
Void Waveには12スロットのMod Matrixがあります。
ソースは15種類。
デスティネーションは19種類です。
主なモジュレーションソースはこちら。
- ENV1〜3
- LFO1〜2
- Velocity
- Aftertouch
- Mod Wheel
- Breath
- MIDI CC
- Macro 1〜4
デスティネーションには、
- OSC Pitch
- WT Position
- Filter Cutoff
- Resonance
- Drive
- Amp
- Pan
などを割り当て可能です。
モダンなサウンドデザインにも十分対応できる内容になっています。
FXチェーンも実用的
FXは4段構成です。
順番は固定ですが、かなり実践的な内容です。
Distortion
搭載タイプは以下の通り。
- Soft Clip
- Hard Clip
- Tube Saturation
- Foldback
- Bitcrusher
ToneやMixも調整できます。
Modulation
モジュレーション系エフェクトとして、
- Chorus
- Ensemble
- Flanger
- Phaser
を搭載。
ステレオLFOにも対応しています。
Delay
Delayモードは、
- Mono
- Ping-Pong
- Stereo
の3種類。
テンポ同期にも対応しています。
Reverb
リバーブには「Peverb」を採用。
これは時間変化型のオールパス構造とEarly Reflectionを組み合わせた設計です。
以下のモードがあります。
- Room
- Hall
- Plate
プリディレイも0〜200msで設定可能です。
プリセットは109種類
初期状態で109種類のファクトリープリセットを収録しています。
ベース中心ですが、
- リード
- パッド
- テクスチャ
- アンビエント系
なども含まれています。
最初に立ち上げた時は「Bass / Boom Bass」が読み込まれる仕様です。
対応環境
対応環境は、以下の通りです。
macOS
- macOS 11以上
- Apple Silicon対応
- Intel Mac対応
- VST3
- AU
- Standalone
に対応しています。
Windows
- Windows 10以上
- x64対応
- VST3対応
となっています。
まとめ:Ollie Nicklin「Void Wave Synth」アナログ機材のような“揺らぎ”と“太さ”を再現!質感重視の人に刺さるウェーブテーブルシンセ|DTMプラグインセール
Void Wave Synthは、単なる「無料ウェーブテーブルシンセ」ではありません。
特に印象的なのは、
- アナログ回路を意識した揺らぎ
- 本格的なラダーフィルター
- 細かく作り込まれたユニゾン
- 実践向けのMod Matrix
- 豊富なFX
このあたりの完成度です。
UIも比較的整理されており、深い機能を持ちながら扱いやすさも意識されています。
ハードウェアライクな質感を持つソフトシンセを探している人には、かなり面白い選択肢になりそうです。
