
ZAcidLowpassは、実験の“失敗”から生まれた異端のフィルタープラグインです。
ベジェ曲線を使った独自アルゴリズムが暴走し、強烈な共振とリングモジュレーション的な性質を併せ持つサウンドへと変貌しました。
一般的なローパスの枠を軽く飛び越える、かなり攻撃的な一本です。
ZAcidLowpass:理論を飛び越えた、暴走系ローパスフィルター

Airwindowsの実験的フィルタープラグイン「ZAcidLowpass」は、開発者Chris氏いわく「e6400が正気を失い、サメの歯を生やしたようなもの」。
その言葉どおり、一般的なローパスフィルターのイメージとはまったく違う、強烈で予測不能なサウンドを生み出します。
開発のきっかけ:ベジェ曲線の実験
ZAcidLowpassは、開発から1週間も経っていない段階で公開されたアルゴリズムです。
もともとは「Quadratic Bezier(2次ベジェ)カーブ」を使ったオーディオ処理を、「Cubic Bezier(3次ベジェ)カーブ」に拡張しようとした実験から生まれました。
そもそもベジェ曲線とは
- 数学的な曲線生成手法
- 本来はグラフィック用途でよく使われる
- 音声の周波数や倍音とは直接関係がない
Airwindowsの2次ベジェ処理は、
- サンプル値をもとに連続的なカーブを描く
- 周波数理論とは無関係
- オーディオ的な意味づけは薄い
という特徴を持ちます。
意外なことに、これはコンプレッサーのような「コントロール電圧処理」には相性が良いといいます。
ただし、あくまで数学的な曲線構築であり、オーディオ理論ベースの処理ではありません。
Cubic Bezierで起きた“暴走”
3次ベジェ曲線では、コントロールポイントが2つになります。
理論上はより複雑で面白いカーブが描けるはずでした。
しかし実際には、次のような現象が起きます。
- 曲線自体は美しく、輪郭も印象的
- しかし波形同士がなめらかにつながらない
- 短い直線がランダムではない形で挿入される
- 狂ったノコギリ波のような挙動になる
結果として、再構築された波形はスムーズにつながらず、非常に不安定な状態に。
開発者いわく、再構築は「crazy-town」に到達したとのこと。
その副作用として生まれたのが、
- 急峻で共振の強いフィルター
- リングモジュレーター的な要素
- それ以外の説明不能な挙動
を併せ持つ、奇妙なハイブリッドサウンドです。
そこで生まれたZAcidLowpass
この“失敗作”に、AirwindowsのZフィルター系で使われている出力段を追加。
強烈に歪ませられる構成へ仕上げ、そのままプラグインとして公開されました。
つまりZAcidLowpassは、
「意図した設計」よりも「実験の暴走から生まれた音」を楽しむプラグインです。
パラメータ解説
ここからは各コントロールの動作を整理します。
Cutoff
- 基本的な周波数コントロール
- 一般的なフィルターと同様の役割
ただし内部構造が特殊なため、効き方はかなり個性的です。
Over / Under
- Over:ハイパス方向の動作
- Under:ローパス方向の動作
- 両方同時:原音に近い状態
不思議なことに、両方を使うと原音に戻る挙動になります。
ある種のクロスオーバー的な構造になっています。
通常のローパスとはまったく違う発想です。
Meltdown
ZAcidLowpassのカオス要素を決定づけるパラメータです。
通常はフィルターへ平均化された、やや暗い入力を送ります。
しかしMeltdownを使うと、
- 生のオーディオ信号を直接フィード
- エイリアシングが発生
- 制御点や内部電圧へカオスが流れ込む
という挙動になります。
結果として、
- より荒々しい
- よりダーティ
- 制御不能に近い倍音
が発生します。
さらに、Overでハイパス動作をしている場合、Meltdownの挙動は逆転します。
Meltdownを0にすると、強烈な倍音やノイズ成分が出現します。
単なる「歪み量」ではなく、内部構造そのものを変質させるスイッチと考えたほうが理解しやすいでしょう。
Drive / Output
- Zフィルター系と同じドライブ段
- 同じ歪みアルゴリズムを採用
そのため、他のZシリーズと並べて使うと、トーン的な統一感があります。
ただしZAcidLowpassはキャラクターが極端です。
「似た質感だが、より攻撃的な対比を作りたい」ときに適しています。
どんな場面で使うか
ZAcidLowpassは、整ったフィルター処理を求める人向けではありません。
むしろ次のような用途に向きます。
- インダストリアル系サウンドデザイン
- ノイズミュージック
- 過激なエレクトロニックサウンド
- ドラムやベースの破壊的加工
- 通常のフィルターでは出ない倍音生成
「コントロールする」というより、「暴れさせて、その結果を使う」タイプのプラグインです。
まとめ:Airwindows「ZAcidLowpass」ローパスの常識を破壊する!ベジェ曲線アルゴリズムが描く狂気のカーブと、攻撃的すぎるフィルター挙動|DTMプラグインセール
ZAcidLowpassは、理論的に整えられたフィルターではありません。
Cubic Bezier(3次ベジェ)カーブの実験から生まれた、予測不能でカオスな音響処理が核になっています。
その結果、急峻で共振の強いフィルター挙動と、リングモジュレーターのような倍音変化が混ざり合う、独特すぎるキャラクターを獲得しました。
- 周波数理論に基づかない、ベジェ曲線ベースの内部処理
- 急峻で暴れるような共振特性
- リングモジュレーション的な倍音の発生
- Over/Underによるクロスオーバー的なフィルター挙動
- Meltdownによるエイリアシングとカオスの注入
- Zシリーズ共通のドライブ/ディストーション段を搭載
整った音作りよりも、「壊す」「暴れさせる」「予想外を引き出す」ためのツールです。
普通のフィルターに物足りなさを感じている人ほど、この個性は刺さるでしょう。
