
MPE Emulatorは、通常のMIDIキーボードをMPE(MIDI Polyphonic Expression)対応のように扱えるVSTプラグインです。
表現力を引き出すための柔軟な設定が可能で、無料で使えるのが魅力です。
この記事では、その特徴や使い方を詳しく解説します。
CONTENTS
MPE Emulator:非MPE対応のMIDIコントローラーをMPE(MIDI Polyphonic Expression)対応に変える画期的なVSTプラグイン

MPE Emulatorは、MIDI信号を加工してMPE(MIDI Polyphonic Expression)をシミュレートするVSTプラグインです。WindowsとLinuxに対応しており、通常のMIDIコントローラーを使って、より豊かな表現力を楽曲に加えることができます。
MPE Emulatorの主な特徴
- 通常のMIDIデータをポリフォニックに変換
単一のチャンネルアフタータッチやピッチベンド、MIDI CC(Control Change)などを個別のノートに適用 - キースプリット設定が可能
キーボードの上下を分割し、異なるルールやトランスポーズを適用 - 対象ノートの柔軟な選択
最も低い/高い/古い/新しいノートなど、ルールに応じて適用先を指定可能 - MIDI CCやピッチベンドの再マッピング
例えば、モジュレーションホイールをアフタータッチとして使用可能 - 表現力向上のための変換・歪み機能
MIDIデータを反転させたり、湾曲させて音の変化を繊細にコントロール
MPE Emulatorの使い方
使用方法の流れ
- MIDIキーボードからの信号をMPE Emulatorへ送る
- MPE Emulatorで変換されたMIDIデータをシンセへ送る
- 必要に応じてパラメータをノブで調整
豊富な設定項目とコントロール
キーゾーンの設定(Zone Configuration)
- Lower Zone: Channel 1がマネージャーチャンネル、2-16がメンバーチャンネル
- Upper Zone: Channel 16がマネージャー、1-15がメンバー
ルール設定の詳細
- 入力(IN): モジュレーションホイール、ピッチベンド、アフタータッチ、任意のCCなど
- 出力(OUT): 上記の入力に対する変換先を指定
- 対象(TARGET): 高音/低音/新しいノート/古いノートなどに指定可能
- 初期値(INIT): プラグイン再初期化時に送る値
- 歪み・反転・リセット・ミッドポイント調整 も設定可能
キーボードスプリットとトランスポーズ機能
- Anchor機能でスプリットポイントを指定
- 下側のみ/上側のみのトランスポーズが可能
- 小型キーボードでも音域を拡張したように使える
サステインペダルやリリースベロシティへの対応
- サステインペダル(CC64)を正しく反映
- ノートのトリガーベロシティをリリースベロシティとして活用
MPE Emulator Liteについて
- REAPER専用のJSFXプラグイン
- 主要な機能はMPE Emulator本体と共通
- Windows / Linux / Mac(REAPER対応なら)で利用可能
注意点と既知の問題
各DAWでの制限・バグ
- REAPER 7.18以前
VST3のMIDIコントロールデータが正しく処理されない - Ardour 8.6以前
アフタータッチが無視される - FL Studio
Pitch Bendが誤動作する可能性あり
解決策・回避法
- FST(VST 2.4)版の使用
- MPE Emulatorとシンセのゾーン設定を一致させる
- MIDIチャンネルの衝突を回避する工夫
よくある質問(FAQ)
- Macで使えますか?
現在Mac対応版はありませんが、REAPERを使えばLite版で代用可能です。 - MPE対応でないシンセも使える?
MPE Emulatorで信号変換は可能ですが、シンセ側が一部CCにしか反応しない場合もあります。 - MIDI CCを使った複雑な表現は可能?
はい。CCの割り当て、歪み、反転など細かな調整が可能です。
インストール前に知っておくべきこと
システム要件は、以下の通りです。
対応OSとシステム要件
- OS: Windows 7以降 または Linux (例: Ubuntu 22.04)
- CPU: SSE2対応の32bit(i686)または64bit(x86-64)
- RAM: 1インスタンスあたり約30MB
使用するDAWやOSに応じた形式を選ぶ
- VST 2.4対応ホスト → FST形式が推奨
- VST 3対応ホスト → VST 3バンドルまたは単一ファイル版
- REAPERユーザー → MPE Emulator Lite(JSFX版)も利用可能
まとめ:Attila M. Magyar「MPE Emulator」アフタータッチもピッチベンドも自由自在!非MPE対応のMIDIキーボードでも驚くほど表情豊かな演奏が可能になる無料VSTプラグイン|DTMプラグインセール
MPE Emulatorは、MIDI表現力を飛躍的に拡張するツールです。
非MPE対応のMIDIキーボードでも、ポリフォニックな表現を可能にし、演奏のニュアンスや表現の幅を大きく広げます。
- MPE Emulatorは非MPE対応のMIDI機器でもポリフォニック表現を可能にするVSTプラグイン
- キースプリット・トランスポーズ・MIDI CCの変換など高機能
- Windows・Linux対応、完全無料
- FL StudioやREAPERなどの主要DAWで使用可能(Lite版もあり)
- MIDI表現の自由度を大幅に高めたい方におすすめ
MIDI環境をもっと表現豊かにしたいと考えているなら、MPE Emulatorは非常に強力な選択肢です。
