
TapeHack は、Airwindows が開発したユニークなプラグインで、磁気テープ特有の圧縮感や歪みをデジタル環境で再現します。
従来のテープエミュレーションとは違い、磁気のヒステリシスに着目しているのがポイント。
音を「テープに叩き込む」ようなリアルな質感を求める人におすすめです。
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CONTENTS
TapeHack:Airwindowsが提案する新しいテープ表現

TapeHack は、Airwindows が開発した「磁気テープ特有の動作」をソフトウェア上で再現するプラグインです。
従来のテープエミュレーションとは一線を画し、磁気ヒステリシス(磁気の履歴効果) に注目して設計されているのが特徴です。
開発の背景
- きっかけは Spencer Walters による「磁気テープ録音におけるヒステリシスの役割」に関する研究論文。
- Dolby HX-Pro の研究から着想を得て、磁束や保磁力、ヒステリシスループについて深堀り。
- Walters 氏は実際にアナログハードウェアも開発中で、論文では 1kHz の波形がバイアス有り/無しでテープを磁化する様子を解説。
- テープには「デッドスポット(無反応領域)」が存在することが判明し、Airwindows の Chris 氏はこれをソフトウェアで再現する試みに挑戦しました。
TapeHackの仕組みと特徴
- sin関数の近似式を工夫し、低CPU負荷で「ソフトクリップ+独自の非線形特性」を実現。
- 波形処理の特徴:
- 通常の sin 波とは異なり、ソフトサチュレーション後にフラットなトップを伸ばす挙動を持つ。
- 波形の静かな部分は台形的になり、傾きが一定して残る。
- クリッピングカーブが急になる一方で、他の要素は安定して持続。
- この処理によって得られる効果:
- 「テープコンプレッション」の再現度が極めて高い。
- 中心部分の波形傾きが急になるほど、耳には「明るい音」として認識される。
- 実際のアナログ機器(Walters T805)と同様の波形がオシロスコープ上で確認可能。
音の効果と使いどころ
- ドラムに使うと「テープらしい吠え(bark)」が生まれる。
- 歪んだギターを「テープに叩き込む」ように処理すると、前に出るサウンドになる。
- 静かな録音素材でも、ダイナミクスが活きてエネルギーの分布が自然に。
- 1970年代のアナログ録音に多く見られる「ピークエネルギー重視のサウンド傾向」と一致。
技術的なポイント
- 本来のヒステリシスモデルすべてを再現しているわけではないが、実用上十分な効果を発揮。
- オーバーサンプリング環境(例:Reaper)で使うとさらに効果的。
- 処理は即時性を重視しており、わずかなエイリアシングよりもダイレクトな質感を優先。
開発者の視点
- Chris 氏は、自身がテープを使って育った経験から「TapeHack がもっとも自然なテープ圧縮を再現している」と断言。
- 今後、TapeHack の考え方は Consoleシリーズの新バージョンや「ヴィンテージコンソールの音質再現」に応用される見込み。
- Walters 氏も TapeHack の存在を歓迎しており、両者の研究は相互に刺激を与え合っている。
まとめ:Airwindows「TapeHack」ドラムの“吠え”、歪んだギターの存在感、静かな素材での自然なダイナミクスなど、幅広い音楽制作においてテープ的な表現を可能にする革新的テープエミュレーション|DTMプラグインセール
TapeHack は、単なる「テープっぽい飽和」ではなく、磁気テープの本質的な非線形性を掘り下げたユニークなプラグインです。
- TapeHack は磁気テープのヒステリシス効果を再現
- 従来の「単なる飽和」とは異なるテープらしいコンプレッション
- ドラムやギター、静かな素材にも効果的
- アナログ機材に近い波形特性を持ち、実用性が高い
- 今後の Airwindows プラグインにも応用が期待される
TapeHack は「テープらしさ」を追求する制作者にとって、新しい音作りの選択肢になるでしょう。
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