音楽制作において、ストリングスの表現力は楽曲のクオリティを大きく左右する要素です。
しかし、従来のMIDI音源では、音量変化やビブラートなどの繊細なニュアンスをリアルに再現するのは至難の業でした。
もっと自然なストリングスの表現がしたいけど、細かなMIDIコントロールは時間がかかるし、手間も多い…
と感じたことがある方も多いのではないでしょうか?
これまでのサンプル音源とは一線を画す「コンテキストを重視したサンプル」が特長で、ダイナミックな音量変化やビブラート、テンポ調整を自動で行い、まるで本物の楽器が演奏しているかのような表現力を実現します。
本記事では、「String Contours」の特長や使い方を徹底解説し、どのようにこの音源を活用すれば、リアルで表現力豊かなストリングスを演奏できるのかを紹介していきます。
表現力のあるサウンドを作りたい
他のストリングス音源とどのような違いがあるか知りたい
といった疑問をお持ちの方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
それでは、さっそく「String Contours」の魅力を見ていきましょう!
Strezov Sampling「String Contours」とは
Strezov Sampling「String Contours」は、これまでのストリングス音源とは一線を画すサンプル音源ライブラリです。
リアルなストリングス表現を追求するために、音量変化(クレッシェンドやデクレッシェンド)やテンポの変化、ビブラートを自動的に調整し、まるで生演奏のような表現力を持つのが最大の特徴です。
また、ダイナミクスとテンポの組み合わせによって、同じフレーズでも異なるニュアンスを簡単に演奏することが可能です。
- ダイナミクス表現:
1小節または2小節のクレッシェンドやデクレッシェンドのパターンを選択可能。 - テンポシンク:
プロジェクトのテンポに自動的に合わせ、異なるテンポのサンプルをシームレスに切り替え。 - アーティキュレーション(奏法):
ノーマル、トレモロ、スル・タストなど多彩な奏法を収録。 - リアルな表現力:
各楽器の動的な表現を最小限の調整で実現。
String Contoursの特長とメリット
String Contoursは、ストリングス音源としての表現力の豊かさと、作曲やアレンジにおける利便性を両立させたサンプルライブラリです。
特に、ダイナミクスやテンポ変化に応じたリアルな表現力を持っているため、複雑なMIDI調整を行わずに自然なサウンドを作り出すことができます。
また、プロジェクトのテンポに自動でシンクロする仕組みにより、作業効率を大幅に向上させることができます。
- リアルなサウンド表現:
ダイナミクスやビブラートを自動調整し、複雑なMIDIコントロールを行わずにリアルな表現を実現。 - 柔軟なテンポ対応:
3種類のテンポ(70bpm、100bpm、130bpm)に対応し、プロジェクトのテンポに自動でシンクロ。 - 簡単な操作性:
収録されている複数のマイクポジションや奏法をボタン一つで切り替えられるため、直感的な操作が可能。 - 多彩なアーティキュレーション:
ノーマル、トレモロ、スル・タストなど、演奏シーンに応じた豊富な奏法を簡単に切り替え可能。
String Contoursに収録されている演奏スタイル(アーティキュレーション)
String Contoursには、様々な演奏スタイル(アーティキュレーション)が収録されており、状況に応じた表現を選択できます。
これにより、特定の奏法やニュアンスを活かしたリアルなサウンドを作りやすくなっています。
例えば、ダイナミックなトレモロ表現や、柔らかく温かみのあるスル・タスト奏法を簡単に選べるのが魅力です。
さらに、各奏法は異なるテンポで収録されているため、曲のテンポに応じた自然な表現を行えます。
- ノーマル(Normale):
標準的な奏法で、一般的なメロディラインや和音に最適。 - トレモロ(Tremolo):
急速な弓の動きで表現する奏法で、緊張感や動きのあるサウンドに向いている。 - スル・タスト(Sul Tasto):
指板近くで弓を引くことで柔らかく温かいトーンを実現。 - スル・ポンティチェロ(Sul Pont):
ブリッジ付近で弓を引く奏法で、鋭く硬い音色を作り出す。 - ルーレ(Loure):
スラーで弓を使い、重音を伴う滑らかな表現を行う奏法。 - ノーマル・エスプレッシーヴォ(Normale Espressivo):
特に表現力を重視し、豊かなビブラートや音量変化を伴ったパッチ。
Strezov Sampling「String Contours」の価格
String Contoursの使い方ガイド|初期設定と基本操作
String Contoursを最大限に活用するためには、正しい初期設定と基本操作を理解しておくことが重要です。
このガイドでは、初めてString Contoursを使用する方向けに、インストールから基本設定、基本操作までの手順を分かりやすく解説します。
まずは、Native Instrumentsの無料ソフト「Kontakt Player」または有料版Kontaktを用意し、String Contoursのライブラリを認識させる必要があります。
その後、プロジェクトに合わせたテンポやダイナミクス設定を行うことで、リアルなサウンド表現を実現できます。
- インストール手順
- Strezov Samplingの公式サイトから「String Contours」のインストーラーをダウンロードし、任意のフォルダに解凍します(約50GBの空き容量が必要です)。
- 「Native Access」を開き、ライブラリを登録する画面で「Add a Serial」を選択します。
購入時に受け取ったシリアルコードを入力し、ライブラリの認証を行います。 - 認証が完了すると、Kontakt Player内にString Contoursが表示されるので、「Locate」をクリックして先ほど解凍したフォルダを指定します。
- Kontakt Playerへの登録と読み込み
- Kontakt Playerを起動し、画面左の「Libraries」タブにString Contoursが表示されていることを確認します。
- String Contoursを選択し、ダブルクリックでライブラリを読み込みます。
インターフェース上に「Close(クローズ)」「Decca(デッカ)」などのマイクポジションや、各種アーティキュレーション(演奏スタイル)が表示されるのを確認しましょう。 - 初期状態では「Full Mix」マイクポジションが有効になっているため、RAMの使用量を最適化するために不要なマイクポジションを「Purge」ボタンで無効化することをおすすめします。
- 基本設定と操作方法
- 画面右側にある「KS Base Key」で、アーティキュレーション(奏法)を切り替えるキーの位置を設定できます。
デフォルトはC-1に設定されているため、他の音源とキーが被らないよう調整しましょう。 - 「Articulations」セクションでは、1-1(1小節のクレッシェンド+1小節のデクレッシェンド)や、2-2(2小節のクレッシェンド+2小節のデクレッシェンド)など、使用するダイナミクスパターンを選択できます。
演奏内容に応じて適切なパターンを設定すると、サウンドがより自然になります。 - プロジェクトのテンポに応じて、String Contoursは自動的に最適なテンポのサンプルを選択します。
異なるテンポのサンプルがシームレスに切り替わるため、テンポチェンジのある楽曲でも安心して使用できます。
- 画面右側にある「KS Base Key」で、アーティキュレーション(奏法)を切り替えるキーの位置を設定できます。
String Contoursのダイナミクス設定方法
String Contoursでは、複数のダイナミクス設定を用いて、音量の移り変わりをリアルに表現することができます。
特に、クレッシェンド(徐々に音量が大きくなる)やデクレッシェンド(徐々に音量が小さくなる)を自由に設定することで、演奏の抑揚を簡単に調整できるのが特徴です。
各ダイナミクスパターンには1小節または2小節単位の設定が用意されており、作曲者の意図に合わせた音量変化を実現できます。
- 1-1(1小節クレッシェンド+1小節デクレッシェンド)
このパターンでは、1小節間で音量を徐々に上げ、その後の1小節で音量を下げる設定です。
テンポが速めの楽曲や短いフレーズに適しており、スムーズな音量変化を演出したい場面で活躍します。
例えば、楽曲の転調部分や盛り上がり前の導入部分などで、自然な抑揚をつけるのに最適です。 - 2-2(2小節クレッシェンド+2小節デクレッシェンド)
2小節間かけてゆっくりと音量を上げ、その後の2小節でゆっくりと音量を下げるパターンです。
この設定は、ゆったりとしたテンポの楽曲や、静かなシーンでのバックグラウンドとして使用するのに適しています。
特に、映画やゲーム音楽の情景描写で、聴き手に感情を伝える場面で有効です。 - 1-2(1小節クレッシェンド+2小節デクレッシェンド)
1小節で急激に音量を上げ、その後の2小節でゆっくりと音量を下げる設定です。
アクセントをつけたい部分や、急激に緊張感を高めた後に徐々に解放するような場面で活用できます。
アクションシーンやサスペンスの楽曲などで、緊張と緩和のバランスを取る際に役立ちます。 - 2-1(2小節クレッシェンド+1小節デクレッシェンド)
2小節間じっくりと音量を上げ、その後の1小節で一気に音量を下げるパターンです。
この設定は、徐々に盛り上げてクライマックスを演出したいときや、楽曲の展開部分で高揚感を持たせる場面で効果的です。
例えば、サビに入る直前や、盛り上がりを見せるストリングスのパートに適しています。
ビブラートと音量変化の調整方法
String Contoursでは、リアルなストリングス表現を行うために、ビブラートと音量変化の調整が非常に重要な役割を果たします。
ビブラートのかけ方や、クレッシェンド・デクレッシェンドの設定を行うことで、より感情豊かで繊細な演奏表現を実現できます。
特に、各パッチの設定やMIDIコントロールを使用して、演奏のタイミングや強弱を自然に変えることができるのが魅力です。
- ビブラートの調整方法
ビブラートは、ストリングスの演奏表現において欠かせない要素です。
String Contoursでは、演奏中にビブラートの深さや速さを調整することができます。
具体的には、以下の方法を試してみてください。- Modwheel(モジュレーションホイール)を使用
Modwheel(通常はCC#1)を上下させることで、ビブラートの深さをリアルタイムで調整できます。
速く回すとビブラートが強くかかり、ゆっくり動かすとビブラートのかかり方が穏やかになります。
例えば、静かなパッセージではビブラートを浅めに設定し、盛り上がりのシーンでは深くかけることで、楽曲により立体感を持たせることが可能です。 - パッチの設定を使用してビブラートを調整
String ContoursのGUI内にある「Dynamic Assignment」を用いて、ビブラートの速さや深さを別のMIDIコントローラー(CC#)に割り当てることもできます。
例えば、CC#11(エクスプレッション)やCC#2(ブレスコントロール)を使用することで、他のパラメーターと組み合わせてより細かな調整が可能です。
- Modwheel(モジュレーションホイール)を使用
- 音量変化の調整方法(クレッシェンド・デクレッシェンド)
クレッシェンドとデクレッシェンドを活用することで、演奏の抑揚をコントロールし、自然な音量変化を再現できます。
String Contoursでは、以下の手法を試すことができます。- Dynamic Envelope(ダイナミック・エンベロープ)の調整
GUI内の「Articulations」セクションで、1-1(1小節クレッシェンド+1小節デクレッシェンド)などの設定を行います。
例えば、1小節単位のクレッシェンドを選択した場合、素早い音量の上昇が得られるため、楽曲の展開部分で一気に盛り上げたいときに便利です。 - DAW内のオートメーションを使用
DAWのオートメーション機能を使用して、音量やビブラートを細かく設定することも可能です。
例えば、曲の終盤で徐々に音量を下げたいときは、デクレッシェンドのオートメーションを設定し、自然なフェードアウトを演出できます。
- Dynamic Envelope(ダイナミック・エンベロープ)の調整
String Contoursの活用シーン|効果的なアレンジ方法
String Contoursは、その高い表現力とリアルなサウンドを活かして、さまざまな音楽ジャンルやシーンで効果的に活用できます。
特に映画音楽やゲーム音楽、そしてドラマの劇伴など、感情表現や場面転換が重要なシーンにおいて大きな力を発揮します。
また、通常のストリングス音源では表現が難しい細かなニュアンスも容易に再現できるため、作曲者やアレンジャーにとって強力なツールとなります。
以下に、具体的なアレンジ方法をシーン別に紹介します。
- 映画音楽での活用例
映画音楽では、シーンの雰囲気やキャラクターの感情を的確に伝えることが求められます。
例えば、ストリングスがメインとなるシーンでは、ゆったりとした2-2(2小節クレッシェンド+2小節デクレッシェンド)を使用して、徐々に感情が高まっていく様子を表現すると効果的です。
また、緊迫感のあるシーンでは、スル・ポンティチェロ奏法とトレモロを組み合わせて、鋭く切り込むようなサウンドを作ることで、場面の緊張感を演出できます。 - ゲーム音楽での活用例
ゲーム音楽では、シーンに応じてサウンドを細かく調整することが求められます。
例えば、アクションシーンでは、テンポの速い「Normale Espressivo」パッチを使用し、緊迫感を高めるのが有効です。
また、RPGのフィールドシーンでは、スル・タスト奏法を使い、温かく柔らかいサウンドを作ることで、プレイヤーに安らぎや落ち着きを与えることができます。 - ドラマや劇伴での活用例
ドラマの劇伴では、静かな場面や登場人物の内面を表現するシーンで、String Contoursのビブラートやダイナミクス設定を活用しましょう。
たとえば、ビブラートを浅めに設定し、ダイナミクスを細かく調整することで、感情の起伏を繊細に表現することが可能です。
場面転換やエピローグなどで、控えめながらも存在感のあるサウンドを作りたいときに効果的です。
映画音楽での使用例と活用ポイント
映画音楽では、シーンごとに異なる感情や雰囲気を伝えることが求められます。
そのため、String Contoursを使用して細やかなニュアンスを表現することは非常に効果的です。
特に、ダイナミクスやビブラートを駆使することで、緊迫感のある場面や感動的なクライマックスなど、聴き手の感情を揺さぶる演出を簡単に行えます。
ここでは、具体的な使用例と活用ポイントを紹介します。
- 静寂と緊張感を演出する場合
静かなシーンでは、スル・タスト(Sul Tasto)奏法を使用し、柔らかく温かみのある音色で背景を彩るのがおすすめです。
音量変化は小さめに設定し、ビブラートも浅くすることで、登場人物の心情や緊迫した状況を控えめに表現できます。
さらに、必要に応じてスル・ポンティチェロ(Sul Pont)奏法を加え、音色に鋭さを持たせることで、緊張感を引き立てることが可能です。 - 感動的なシーンやクライマックスの演出
感動的なシーンやクライマックスでは、ダイナミクスの設定が重要になります。
例えば、2-2(2小節クレッシェンド+2小節デクレッシェンド)を用いることで、徐々に音量を上げながら、感情の高まりを表現できます。
ビブラートを深めに設定し、音量のピークでさらに広がりを持たせることで、楽曲全体に壮大さや感動を持たせることができます。 - アクションシーンでの活用例
アクションシーンでは、テンポの速い「Normale Espressivo」パッチや、トレモロ奏法を活用して、動きのあるフレーズを演出しましょう。
特に、テンポの速いトレモロは緊迫感やスリルを与え、シーンに一層の迫力を持たせることができます。
また、急なテンポ変化にも対応できるため、テンポの異なるフレーズを組み合わせて場面の転換を表現する際にも便利です。
ゲーム音楽での使用例と活用ポイント
ゲーム音楽では、プレイヤーが没入感を持ってゲーム世界を楽しめるよう、シーンごとの雰囲気やテンポに応じてサウンドを調整することが重要です。
String Contoursを用いれば、静かなフィールドのBGMから激しいバトルシーンまで、リアルで感情豊かなストリングス表現を簡単に行えます。
特に、テンポやダイナミクスを活用することで、ストーリー展開や場面転換に合わせた細やかな表現を作り出すことができます。
- フィールドシーンでの使用例
オープンワールドやRPGのフィールドシーンでは、スル・タスト(Sul Tasto)奏法を使用することで、柔らかく包み込むような温かいサウンドを演出できます。
この奏法を選択し、音量を控えめに設定することで、プレイヤーにリラックス感や安心感を与えることができます。
また、ビブラートを少し抑えて静かに奏でることで、静寂な風景や夜のシーンにも最適なBGMを作り上げることができます。 - バトルシーンでの使用例
バトルシーンでは、より動きのあるフレーズやダイナミックな表現が求められます。
テンポの速いトレモロ奏法や、1-1(1小節クレッシェンド+1小節デクレッシェンド)の設定を使用することで、緊張感のあるストリングスサウンドを実現できます。
さらに、スル・ポンティチェロ(Sul Pont)奏法を加えることで、音色に鋭さと力強さを持たせ、激しいバトルのシーンにおいて迫力を演出することができます。 - ストーリーの重要シーンやイベントでの使用例
ゲーム内のストーリーの転換点や感動的なイベントシーンでは、2-2(2小節クレッシェンド+2小節デクレッシェンド)を使用し、徐々に音量を上げながら感情を盛り上げるのが効果的です。
さらに、ビブラートを深く設定し、エクスプレッション(CC#11)を用いて演奏中の強弱を細かく調整することで、プレイヤーの心に残るドラマチックな演奏を行えます。
また、静かなパッセージではソロチェロのルーレ奏法を使うと、しっとりとした表現が可能です。
String Contoursを使ったサウンドデザインの実践例
String Contoursを使えば、リアルで表現力豊かなストリングスサウンドを簡単に作成できるため、様々なシーンやジャンルに合わせたサウンドデザインが可能です。
ここでは、実際にどのような設定や演奏方法を用いることで、曲全体の雰囲気を変えられるのかを具体的な例とともに紹介します。
各種パッチやダイナミクスの設定を組み合わせ、プロの作曲家がどのようにString Contoursを活用しているのか、ぜひ参考にしてください。
- ソロ楽器を活用した静かなシーンのサウンドデザイン
ソロバイオリンやソロチェロのパッチを使用し、シンプルなメロディラインを演奏することで、静かなシーンに最適なサウンドを作り出せます。
スル・タスト(Sul Tasto)奏法を使用し、ビブラートを浅く設定することで、控えめでありながら温かみのあるトーンを表現できます。
また、1-2(1小節クレッシェンド+2小節デクレッシェンド)設定を使用し、音量の移り変わりをゆっくりと変化させることで、聴き手に心地よい落ち着きを感じさせることができます。 - ダイナミックなクライマックスのサウンドデザイン
映画やゲームのクライマックスシーンでは、複数の楽器を組み合わせた壮大なサウンドを作りましょう。
例えば、バイオリンセクションとチェロセクションを重ねて演奏し、それぞれ異なるダイナミクス設定(例:バイオリンは2-2、チェロは1-1)を用いることで、厚みのあるサウンドが得られます。
さらに、テンポの速いトレモロや、スル・ポンティチェロ奏法を加えることで、よりドラマチックな展開を演出することが可能です。 - シーン転換時の演出効果を高めるサウンドデザイン
シーンの転換時には、急激な音量の変化やテンポの変化を効果的に使うことで、場面の切り替わりを強調できます。
例えば、ストリングス全体に2-1(2小節クレッシェンド+1小節デクレッシェンド)を設定し、クレッシェンドで徐々に盛り上げた後、突然デクレッシェンドで音量を下げることで、シーンの緊張感を際立たせることができます。
こうしたダイナミクスの変化を利用することで、映像やゲーム内の場面転換を効果的に演出できます。 - 繊細なニュアンスを持たせた表現のサウンドデザイン
ノーマル・エスプレッシーヴォ(Normale Espressivo)パッチを使うと、繊細で豊かなビブラート表現が可能です。
特に、1-1や2-2の設定と組み合わせることで、自然な音量変化とともに、表現力の高いフレーズを演奏できます。
また、弓の動きを細かく設定することで、まるで生演奏のような柔軟なニュアンスを持たせることができます。
String Contoursと他のストリングス音源との比較
String Contoursは、他のストリングス音源と比較しても、独自の強みと特長を持っているため、特定のニーズに対して優れたパフォーマンスを発揮します。
特に、「リアルな演奏表現」や「複雑なMIDI調整を必要としない自動化機能」などは、作曲者やアレンジャーにとって大きな利点です。
ここでは、String Contoursと他の人気ストリングス音源をいくつかの観点から比較し、その違いを明確にしていきます。
- ダイナミクス表現の自動化とテンポシンクロ機能
String Contoursは、MIDI CCを細かく設定しなくても、クレッシェンドやデクレッシェンド、ビブラートなどのダイナミクス表現を自動で行います。
これは、同じフレーズを異なるテンポで演奏したい場合や、テンポチェンジの多い楽曲を作成する際に非常に便利です。
例えば、他のストリングス音源ではテンポチェンジに対してタイムストレッチを行う必要があるのに対し、String Contoursではプロジェクトのテンポにシームレスに対応できるため、作業の手間を大幅に省くことができます。 - 多彩なアーティキュレーションとリアルなニュアンスの再現力
String Contoursには、通常のノーマル奏法に加え、トレモロやスル・ポンティチェロ、スル・タストなど、豊富な演奏スタイルが収録されています。
他のストリングス音源でもこうしたアーティキュレーションは存在しますが、String Contoursの特徴は、その表現が非常にリアルである点です。
特に、ビブラートやダイナミクスが各奏法において自動調整されるため、MIDI編集を最小限に抑えつつリアルな演奏を実現できます。 - CPU負荷とシステム要件の違い
他の多くのストリングス音源は、レイヤー(音色の重ね)やループを多用するため、CPU負荷が高くなりがちです。
そのため、大規模なプロジェクトでは動作が不安定になることもあります。
一方、String Contoursは、各奏法やダイナミクス設定を簡素化し、無駄なレイヤーを使用しないため、比較的軽量な動作を実現しています。
このおかげで、大規模なオーケストラアレンジや他の複数音源と組み合わせたプロジェクトでも安定して使用できるのがメリットです。
動作環境とシステム要件
String Contoursは、無料のNative Instruments Kontakt Playerで動作します。
最新バージョンのKontakt Playerは、Native Instrumentsのダウンロード管理ツール「Native Access」からインストールできます。
なお、本製品に対応するKontaktの最低バージョンについては、製品の説明ページまたはメーカーの公式サイトで確認してください。
システム要件
Mac
- 対応OS:macOS 10.14以降(64bit)
- CPU:Intel Core i5 または Apple M1(ネイティブ対応)
- RAM:最低4GB(推奨6GB)
Windows
- 対応OS:Windows 10以降(64bit)
- CPU:Intel Core i5 または同等のプロセッサ
- RAM:最低4GB(推奨6GB)
対応プラグイン形式
Mac(64bitのみ):Stand-alone、VST、VST3、AU、AAX
Windows(64bit):Stand-alone、VST、VST3、AAX
まとめ:Strezov Sampling「String Contours」ダイナミックな音量変化から自然なビブラートまでリアルなストリングス表現を実現するプラグイン
String Contoursは、他のストリングス音源とは一線を画す高度な表現力を備えたサンプルライブラリです。
プロジェクトのテンポに自動でシンクロし、ダイナミクスやビブラートといった演奏表現をシンプルに設定できるため、複雑なMIDIコントロールを行わずとも生演奏のようなサウンドを実現します。
映画音楽やゲーム音楽など、シーンごとの感情表現が求められる楽曲制作においては特に効果を発揮し、まるでオーケストラを指揮しているかのような充実した体験を提供してくれます。
また、複数の奏法やテンポ設定が用意されていることで、どのようなジャンルやシーンにも対応できる柔軟性も魅力のひとつです。
さらに、軽快な動作と高いコストパフォーマンスを両立しているため、他の高額なストリングス音源に比べても導入のハードルが低く、どなたでも本格的なサウンドを手軽に手に入れることができます。
今までのストリングス音源では表現が難しかった繊細なニュアンスや、ダイナミックなサウンドを簡単に作り出せるこのプラグインを、あなたの楽曲制作にぜひ取り入れてみてください。
きっと、その豊かな表現力が、あなたの音楽を新たな次元へと引き上げてくれるはずです。